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マルヰコラム

COLUMN

フェルト

2023年12月20日

カーボンフェルトとは何?特徴や製造工程、用途、課題を知ろう

カーボンフェルトとは何?特徴や製造工程、用途、課題を知ろう

カーボンフェルトとは、耐炎繊維で作られたフェルトを焼成して炭素繊維のフェルトに加工したものですが、どのような特徴があるのでしょうか。

今回は、不織布の一つであるカーボンフェルトについて、不織布製造メーカーのマルヰ産業が、その特徴や用途、抱える課題について解説します。

カーボンフェルトとは

カーボンフェルトとは、一般的に、熱に強い耐炎繊維のフェルトを焼成して炭素繊維のフェルトに加工したものを指します。

カーボンフェルトの炭素繊維の比重は、通常1.5〜2.0g/cm³の範囲ですが、これはアルミニウムの約1/4〜1/5、鋼鉄の約1/7〜1/8に相当し、一般的な構造材料よりも軽いのが特徴です。

この優れた軽量性を持つカーボンフェルトは、航空宇宙、自動車産業やアウトドア用品などの幅広い分野で活用されています。

カーボンフェルトの製造工程とは

ここからは、カーボンフェルトがどのような製造工程を経て出来ているのかをご紹介します。

原料の選定

カーボンフェルトの主成分である耐炎繊維の原料としては、主にポリアクリロニトリル(PAN)やピッチなどが使用されます。

ポリアクリロニトリルは、アクリロニトリルという有機化合物を主成分とするポリマーから作られた繊維で、高い引張強度と炭素化(カーボニゼーション)に適しています。

ピッチは、石油製品やコールタールから得られる粘性のある液体で、炭素繊維の原料としても使われます。

ポリアクリロニトリルを原料とするものはPAN系、ピッチを原料とするものはピッチ系と呼ばれ、それぞれ特有の特性を持ちますが、高強度で軽量な特性はどちらも共通です。

耐炎繊維の製造

次に、選定した原料を紡糸などのプロセスを経て、耐炎繊維に変換します。

耐炎繊維にするためには、繊維の原材料となるポリマー(ポリアクリロニトリルまたはピッチ)を耐炎化炉に通し、高温での熱処理を行うことで繊維の結晶構造を安定化させます。この工程によって、高い引張強度と軽量性を持つ耐炎繊維が得られるのです。

フェルト化

耐炎繊維ができたら、フェルト状に組み合わせます。特殊なニードルを往復させることで繊維を交絡させるニードルパンチの技術で、均一な構造を持つフェルトに仕上げます。

▼不織布製造に採用されるニードルパンチについて詳しく!

ニードルパンチ加工ってどんな技術?選ばれる理由は

熱処理

耐炎繊維で作られたフェルトは、最終的な形状に整えられ高温で熱処理が行われます。この過程でさらに結晶構造が安定化し、耐炎繊維は炭素繊維となりカーボンフェルトが出来上がります。

必要に応じて、製品の特性を向上させるための表面処理や特殊なコーティングなどといった仕上げ工程が行われることがあります。

カーボンフェルトの用途とは

カーボンフェルトはその高い強度、耐久性、軽量性などの特性から、さまざまな産業分野で広く用いられています。

航空宇宙産業

航空機や宇宙船の構造材料としてカーボンフェルトが使用されています。カーボンフェルトは軽量でありながら非常に強靭で、航空機の構造部材やコンポーネントに利用され、燃料効率や性能の向上に寄与します。

自動車産業

自動車の軽量化が求められる中で、カーボンフェルトは自動車部品や車体の補強材料として採用されています。これにより、燃費の向上や車両の軽量化が実現します。

エネルギー産業

カーボンフェルトは熱および電気伝導性が優れているため、燃料電池や電極の製造に利用されています。またカーボンフェルトを活用することによってエネルギー効率の向上も期待されます。

防災用品

カーボンフェルトは熱に強く、火に対しても高い防護性能を発揮するため、防火シートや焚き火台の下敷きシートなどに使われます。

カーボンフェルトの課題とは

多くのメリットがあるカーボンフェルトですがいくつかの課題を抱えています。

価格の高さ

繊維の価格は市場の需給状況や素材の入手可能性、製造プロセスの技術進化などによっても影響されますが、一般的に高性能な繊維は価格が高い傾向があります。

カーボンフェルトの原料である耐炎繊維も高性能な特性を有するため高価であり、製造にも特別な設備が必要なためコストがかかります。

その結果、カーボンフェルトを用いた製品を作るメーカーの負担が大きくなってしまうことが課題の一つであると言えるでしょう。

処分の困難性

カーボンフェルトやその原料である耐炎繊維は、通常の廃棄物処理施設では十分に分解することが難しいとされています。

これは、耐炎繊維が耐熱性や耐火性を有しているため、通常の廃棄物処理方法では効果的に処理できないことが原因です。

加工の難しさ

カーボンフェルトや耐炎繊維は、その特殊な性質から加工の難しさがあります。特に、高い強度や高温に耐える性質を持たせるためには一般的な加工プロセスでは困難な場合があり、特殊な技術や設備が必要になります。

自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

今回は、カーボンフェルトについてお伝えしました。

マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。

カーボンフェルト製造にも用いられるニードルパンチの技術を使う「ニードルパンチ不織布」を年間7500t製造しています。

さまざまな機能性を持たせた不織布の製造が可能ですので、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。