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マルヰコラム

COLUMN

フェルト

2023年12月4日

ニードルフェルトの吸音率を高めるには?防音効果を上げるためのポイント

ニードルフェルトの吸音率を高めるには?防音効果を上げるためのポイント

ニードルフェルトは、安価で吸音性や断熱性能が高い繊維質の建材や養生材などとして、私たちの生活の中で幅広く使用されています。

今回はニードルフェルトの特徴をあげながら、吸音率を高めて防音効果を上げるポイントについてご紹介します。

ニードルフェルトとは

ニードルフェルトとは

ニードルフェルトとは、主に羊などの動物の毛を圧縮し、専用の細いニードル(針)を使用して、短くて細い糸状の繊維を重ね合わせて交絡してつくる素材で、織らずに作ることから多孔質な構造になる点は不織布と共通であると言えます。

一般的に市販されているニードルフェルトは、ロール状やシート状のものがありますが、いずれもカッターやハサミなどで切断が可能で加工性に優れています。

床や壁、商品などに張り付けたり巻き付けたりする場合でも伸び縮みするため施工性にも優れており、非常に使い勝手が良い吸音材・断熱材・緩衝材として多くの建築現場などで利用されています。

吸音材としてのニードルフェルト

ニードルフェルトは多孔質な構造から、吸音に優れた素材です。吸音とは、材料の孔に音(波)が入り込み、材料自体の振動や摩擦で熱エネルギーに変換されて入射音に対して反射率が減ることを指します。

身近な使われ方の例としては、スピーカーなどの音源の裏側に裏打ちされているゴワゴワとした綿のような繊維質の素材です。

このような吸音材として使用されるニードルフェルトは、一般的には低音(周波数が低い音域)の吸音率が低く、高音(周波数が高い音域)の吸音率が高いと言う特性があります。

また、材料の厚みが増すにつれて低音の吸音率が高くなることも特徴としてあげられます。

ニードルフェルトの吸音率が変わる要因

ニードルフェルトの吸音率が変わる(低下する)要因は、多孔質のポーラス構造の孔を塞ぐ「水分」や「塗膜」にあります。

水分が吸音率全体を低下させる

ニードルフェルトのような多孔質材料のポーラスに水が入ってしまうと、孔が無くなり材料が空気を含まなくなるため(含みにくくなるため)、空気中の音(波)を吸収しにくくなります。

よって、ニードルフェルトを吸音材として施工する箇所は、水気が無い(湿度が低い)場所がおすすめです。

塗膜が高音域の吸音率を低下させる

ニードルフェルトの表面を塗装(通気性が低い材料で塗膜)してしまうと、音(波)が材料のポーラス構造に直接入射することができなくなるため、高音域での吸音率が低下してしまいます。

ニードルフェルトの吸音率を上げて防音効果を高める

ニードルフェルトの吸音率を上げて防音効果を高める

ニードルフェルトの吸音率を上げて防音効果を高めるためには、材料の遮音性能や吸音性能を高める必要がありますが、具体的には以下の方法があります。

遮音性能を高める=材料を厚くする

一般的に音の透過損失(入射音と透過音の差)は、

TLo=20log(f・M)-42.5(dB) f:入射音の周波数 M:透過する材料の質量

として表されます。

この式は、入射する音の周波数が大きいほど、そして透過する材料の質量が大きいほど透過損失が大きくなることを意味します。透過損失が大きいということは、音のロスが大きいこと、つまり遮音性能が高いというわけです。

よって、ニードルフェルトの厚みを増して(面積が一定である場合M=定数×d(厚み))、遮音性能を高めることが重要です。

例えば、同じニードルフェルトでも1mmの商品よりも3mmの方が遮音性能は高くなるということになります。

吸音性能を高める=材料の密度を高くする

吸音性能を高めるためには、材料の密度を高めることが大切です。同じ体積でも密度が大きければ質量も大きくなり、前記した透過損失が大きくなることにつながるとともに、ポーラスも細かくなっていくため高音域の音がより吸収されやすくなります。

また、防音効果を高めるということは吸音性能と遮音性能を高めることが大切ですが、部材と部材の間に空気層を設けてサンドイッチ構造にすることで、低音域の吸音率が大きく向上します。

そのため、ニードルフェルトで防音効果を高めるには部材と空気層の構成の仕方も大きなポイントとしてあげることができます。

ただ、部材の厚みや密度を変えると吸音率や遮音率は向上しますが、音の入射面を塗装したり保護膜で覆ったり(板状の吸音材を張るなども同様)すると、高音域付近の吸音率が低下することがあるため注意が必要です。

また、部屋の防音計画をする場合は、吸音率を高めすぎると反射音が無くなり、とても違和感がある音環境となるため、目的や音源の周波数や大きさに応じて部屋の吸音率を検討する必要があります。

自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

今回は、ニードルフェルトの吸音率を高める方法についてお伝えしました。

ニードルフェルトは、軽量で吸音性能や遮音性能、断熱性能などに優れており、音・熱環境の部分的な改善に非常に最適です。

また、ニードルフェルトは柔らかく耐久性にも優れているため、建物や商品の緩衝材にも最適であり、私たちの暮らしの中でとても重宝されているものです。

弊社では、ニードルフェルト以外に、エアレイド不織布も生産しております。このエアレイドでも吸音性が高いフェルトを作ることが出来ます。

マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。

さまざまな種類のニードルパンチを製造してきた実績がございますので、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。