
マスクやフィルターなど、多方面で使用されている不織布ですが、その構造にはどんな特徴があるのでしょうか。
ここでは、織物や編物と比べての構造の違いや、不織布がどんな場面で使用されているのか、その具体例を交えて解説します。
また、不織布の構造を変化させる際の注意点についてもまとめています。
目次
不織布の構造とは?
不織布は、材料となる繊維を織物のように織ることがなく、機械的に結合させて作るため、その構造には、小さなスキマを無数に有する「多孔性」があります。
その他には、以下のような特徴があります。
- 裁断面がほつれにくく、裁断が容易である
- 厚みや硬さ、強度、深度などが変化できる
不織布は例えば紙のようなもの、皮のようなもの、そして綿に近いようなふわふわなものまで柔軟に作ることができます。
不織布の構造は、織物や編物と比べてどう違う?
織らないで作る「不織布」、タテ糸とヨコ糸を織機で絡み合わせて作る「編物」、タテかヨコどちらか一方の糸で作った輪を組み合わせる「織物」での構造の違い・特徴の違いについてまとめています。
項目 | 不織布 | 織物 | 編物 |
繊維の配列 | ・ランダム ・方向性がない | ・規則正しい ・方向性がある | ・規則正しい ・方向性がある |
通気性 | 高い | 低い | 織物に比べると高い |
強度 | やや低い | 高い | 織物に比べると低い |
伸縮性 | ほとんどない | 素材にもよるが伸縮性に欠けるものが多い | 優れている |
ほつれにくさ | ほつれにくい | 端部からほつれる | 端部からほつれる |
機能の追加 | さまざまな機能が追加できる | 事前に糸や機械の選定が必要 | 事前に糸や機械の選定が必要 |
用途 | 日用品や建築材、衛生用品など幅広い | シャツなどの衣類、寝具、家具などに使用 | セーターなどの衣類で主に使用 |
その他にも、使用される原料や素材によって、その構造や特徴は異なります。

不織布の構造を利用して作られるもの
不織布の構造は、多孔性があることが大きな特徴ですが、日本不織布協会の「日本の不織布の用途別シェア(2020年)」(※外部サイトへ遷移します)によると、特に「医療・衛生用」「生活関連用」「産業用(車両用)」の分野で広く使用されています。
その他に、不織布の構造を活かしてどんなものに使用されているのか、不織布の特徴も合わせて確認しましょう。
特徴 | 用途例 |
通気性 | ・収納袋 ・農業用シート ・マスク |
吸水・吸液 | ・紙オムツ ・医療用パッド ・カーペット |
保温性 | ・中入れ綿などの衣料部材 ・ビニールハウスシート |
ろ過性 | ・室内清浄フィルター ・ティーパック |
防音性 | ・養生シート ・壁装材 |
不織布は日用品・衛生用品をはじめ、農業や建築資材などあらゆる場面で活用されています。
不織布の構造を変化させる際の注意点
不織布の構造を変化させる方法・注意点について、不織布の製法でシェアが高い「ニードルパンチ加工」を参考にお伝えします。
例えば、不織布の重量を調整する際は、不織布の原料である原綿を開繊するカード工程にある重量設定でコントロールします。この操作は、構成される繊維の内容で同じ設定値でも重量が変わるため、微細な調整や管理が必要です。
そして厚みや強度の調整をする際は、ニードルの深さ(深度)や打回数などのニードルパンチの加工条件によってコントロールしますが、使用するニードルの仕様にも大きく影響を受けるため、ニードルの選定が大きな鍵を握っています。
その他にも、不織布の製法では、熱や接着剤を用いる方法などさまざまな製法がありますが、対応できる内容はそれぞれ異なるため、どんな不織布を作りたいのか、事前によく打ち合わせをして進めることが大切になります。

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不織布の構造についてお伝えしました。
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- 軽量のものから重量のあるもの 100g/m2~3000kg/m2
- 薄いものから厚いもの 1mm~50mm
- 多層構造のもの 1層~4層
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