
不織布は、織ったり編んだりしていない布のことです。不織布の製造において、「目付」は重要な指標になります。本記事では、不織布における目付とは何かを深掘りし、不織布の魅力、製造工程について詳しく解説します。
目次
不織布における目付とは
「目付」とは、一定面積あたりの生地の質量を示す数値のことで、一般的にはg/㎡(グラム毎平方メートル)で表されます。
不織布の特性や用途を決定づける重要な要素がこの「目付」です。目付の数値が高いほど密度が高く、強度が増す傾向にあります。
目付と不織布の質感・強度・耐久性の関係
目付と厚みのバランスによって、不織布の質感や強度、耐久性、コストをイメージすることが可能です。たとえば、目付が1000g/㎡の不織布の場合、厚みが変わることにより以下のように質感や強度が大きく異なります。
1000g/㎡・5mm厚 | 繊維が密に詰まっており、かなり硬くて強度が高い |
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1000g/㎡・20mm厚 | 繊維の密度が低く、かなり柔らかくて強度が弱い |
不織布製品の用途に応じて、適切な目付と厚みを選びましょう。
そもそも不織布とは

不織布とは、文字通り織ったり編んだりせずに作られる布のことです。
繊維を織らずにランダムに結合させる不織布は、繊維と繊維の間にポーラス構造と呼ばれる小さな隙間があります。このような多くの隙間がある構造により、通気性や保温性、ろ過性に優れている点が特徴です。
不織布のメリット
不織布は、通気性・保温性・ろ過性があるだけでなく、裁断してもほつれにくく、密度や厚みの調整が柔軟にできるという使い勝手の良さが魅力です。また、原料の組み合わせや配合を変えることで、形状を自在に変えたり、布やレザー、綿、紙のような質感を表現したりすることもできます。
不織布はマスクやフィルター、衣料品、医療用品など幅広い分野で利用されています。目付や厚みを調整することで、強度や柔軟性、耐久性などを調節できる点が不織布の大きなメリットだといえるでしょう。
不織布のデメリット
不織布のデメリットとして、原料や素材によっては劣化しやすく、織物に比べて強度が低い点が挙げられます。耐久性に欠けることがあり、繰り返しの使用には適していない場合があるでしょう。また、ドレープ性(自然にできる布のたるみ)が低く、伸縮性があまり期待できません。
しかし、不織布は製造方法や素材の組み合わせを工夫することで、こうしたデメリットを補うことが可能です。たとえば、繊維同士の接着を強化するために低融点繊維を多く配合したり、ラテックスを塗工して目止めや寸法安定性を施したりすることにより、摩擦や引っ張りに対する強度を向上させられます。また、不織布の目付を調節すれば、全体の強度や耐久性を高めることが可能です。
マルヰ産業では、繊維同士をニードルで突いて強く交絡させることで強度や耐久性を高めるニードルパンチ製法を採用し、年間7,500tもの不織布を製造しています。ニードルパンチ不織布は、強度が高いだけでなく、弾力性や伸縮性にも優れており、さまざまな用途に対応可能です。
不織布の特性を理解し、適切に加工することで、劣化や耐久性の低さといったデメリットはある程度防ぐことができるでしょう。
関連記事:不織布のメリットとデメリットとは?特徴を活かした製品や短所を補う製造方法について
不織布の製造工程

不織布の製造では、原材料の調合から繊維間の結合、最終的な仕上げに至るまで、いくつか重要な工程があります。ここでは、不織布の製造工程について紹介します。
1.原材料を調合する
不織布の製造は、まず原材料となる短繊維(15~100mm程度)の調合から始まります。原材料を調合する工程では、仕上がりの特性に応じて種類や割合を決めることがポイントです。
ウェブを形成する
ウェブとは、繊維をシート状にしたものです。ウェブを形成する工程では、繊維を機械に通して幅を広げ、薄い状態にした上で、繊維の向きを一定方向に整えて1枚のシートに仕上げます。ウェブを形成する段階で繊維を均一に並べることにより、不織布になった際の品質が向上します。
ウェブ形成の方法として挙げられるのは、乾式法、湿式法、スパンボンド法の3つです。
乾式法 | ・短繊維を乾いた状態でウェブにする方法 ・ローラーの付いたカードと呼ばれる機械や、空気の流れを利用するエアレイを使い、繊維を一定方向またはランダムに並べてウェブを形成する |
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湿式法 | ・繊維を水中に均一に分散し、網の上で圧力や熱を加えて脱水することでウェブを形成する方法 ・短繊維の中でも6mm以下のごく短い繊維を使用する ・紙に近い風合いが得られるのが特徴 |
スパンボンド法 | ・原材料である樹脂チップを溶融して積み重ね、シート状に結合させる方法 ・引張強さのあるウェブが形成できる |
繊維間を結合する
次は、針や接着剤、熱などを加えて繊維間の結合を強化する工程です。繊維をどの程度結合させるかによって、強伸度、厚み、摩耗性などが決まります。必要に応じて、繊維間の結合後に加熱加工を施すケースがあります。
繊維間を結合する方法は、ニードルパンチ、ケミカルボンド、サーマルボンド、スパンレースの4つです。
ニードルパンチ | ・針を使って繊維同士を絡み合わせて作る方法 ・低目付(低重量)で丈夫な不織布が作れる ・針という危険物を使用している ・ケバ立ちが発生しやすい ・自動車内資材、土木・建築用資材、日用雑貨などに使用 |
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ケミカルボンド | ・ウェブに接着剤をスプレーして繊維を結合させる方法 ・接着剤の種類や使用量、分布状態によって硬さの調整が可能 ・他の方法と比べると耐久性や強度が劣る場合がある ・衣料品(芯地)、各種フィルターなどに使用 |
サーマルボンド | ・加熱処理を施して繊維を結合させる方法 ・あらかじめ溶解性の接着繊維を混合することで、厚みや重量を出すことができる ・融点の低い接着繊維を使用している場合は耐熱性に欠ける ・断熱材、防音材、各種シート、クッション材などに使用 |
スパンレース | ・高圧水流を噴射して繊維を交絡させて結合させる方法 ・接着剤を使用しないことから、衛生的でドレープ性に優れている ・強度の高い不織布が作れない ・衛生用品、医療用品、日用雑貨などに使用 |
最後に巻き取り、完成
最後に、結合した不織布をロール状に巻き取り、風合いや重量などを確認します。
マルヰ産業では、年間7,500tもの不織布を製造しています。用途に応じた多様なニードルパンチ不織布を提供しているので、お困りごとがございましたらぜひお問い合わせください。
自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

今回は、不織布の目付についてお伝えしました。不織布は目付によって風合いが大きく変わります。品質に与える影響がとても大きい目付は、不織布作りにおいて重要な要素の一つです。
マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。
機能性を持たせた不織布の製造が可能ですので、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。