ニードルパンチカーペットは、ポリエステルやポリプロピレンなどの不織布を用いてつくられる耐久性や耐摩耗性、施工性に優れた特徴を持つ内外装建材です。
今回は、ニードルパンチカーペットの施工方法について、製品特性や注意点を踏まえながらご紹介します。
目次
ニードルパンチカーペットとは
ニードルパンチカーペットとは、天然繊維や化学繊維、ガラス繊維などの不織布を材料とし、高速で上下に動くニードル(針)で不織布に繰り返し突き刺して、圧縮(パンチング)してつくられるフェルト状の内外装建材です。
一般的なカーペットがパイル糸で構成されているのに対して、ニードルパンチカーペットは糸を使用しておらず、不織布が有する多孔質構造(ポーラス構造)により通気性や断熱性、耐久性に優れた特性を持っています。
また、大きな特徴としては、不織布でつくられているため薄くて軽量であることから、建材としての施工性が良いという点があります。
現場への材料の搬出入や特殊な工具がなくてもカッターなどで容易に切断でき、形状が複雑な床の施工にも対応可能である点などによって多くの現場で採用されています。
また、ニードルパンチカーペットの裏面(床と接着する部分)にはラテックス加工(合成ゴム張)があるものが多く、施工性を高める工夫も各メーカーにより行われています。
ニードルパンチカーペットの施工方法
次に、一般的なニードルパンチカーペットの施工方法(接着を使用する工法)について、工程とその施工の注意点をご説明します。
下地の清掃
まずは、施工する下地の清掃を行います。
ニードルパンチカーペットは、3mm~6mmまでの商品が多く、3mmの商品は床の不陸(凸凹)を拾いやすいため、施工対象の床にゴミなどがないようにきれいに清掃します。
最終的に施工する面に接着剤を均一に塗布してニードルパンチカーペットを張り付けていくため、施工面の平滑具合が仕上がりの美しさを決定します。
特に、接着面がビニル床シートやクッションフロアなどの表面が柔らかく細かい凹凸がある既存仕上の場合は、埃やゴミが溜まりやすくなり接着剤の能力を低下させる恐れがあるため注意が必要です。
また、摩耗などにより床面の凹凸が激しい場合は、パテ剤などを使用して下地を平滑にする必要があります。
素材の割り付け
次に、材料を施工対象の床に仮置きして、どのようにニードルパンチカーペットを張るか決めます。
一般的なニードルパンチカーペットは商品の幅が1820mmであるため、端材をなくし材料を有効に使うには、空間の短辺方向と直交方向に配置すると良いでしょう。(長手方向に長く張るようにしましょう)
注意点としては、材料のジョイント(継ぎ手)部分は、30mm程度重なるように配置してください。
ジョイント部は最終的に切断しますが、ジョイント部分を確保しないと材料が微妙に伸び縮みしている可能性もあるため、配置した際に隙間ができないようにする工夫が必要です。
接着剤の塗布
仮置きしたニードルパンチカーペットに問題がなければ、接着剤を塗布して下地と接着させます。
注意点としては、一度に床の全体に塗布せず、置いているニードルパンチカーペットの面積の半分をめくって部分的に施工することです。なぜなら、一度に全部接着剤を塗ってしまうと、張る人の重さで接着剤を塗布した場所から固定されてしまい、全体にズレが生じる可能性があるからです。
また、ニードルパンチカーペットをめくるときに、残りの半分の箇所がズレてしまわないように身近なもので重しをしておき、全体のレイアウトが変わらないように注意しましょう。
そして、接着剤は小さく垂らして広く伸ばすことがポイントです。ノリハケなどのプラスチックでできた刷毛を使って、半円を書くように接着剤を伸ばしていきます。その際、施工対象の端(窓際や壁際など)から行い、最後に自分が施工していないニードルパンチカーペット側に移動できるようにしましょう。
圧着
接着剤が均一に塗布できたら、すぐに押し付けて接着するのではなく少し放置しておきます。このことをオープンタイムと呼び、接着剤に含有される揮発性のガスを除去し、接着力を向上させるために行います。オープンタイムの目安は、温度や湿度にも寄りますが、5〜30分程度を見込んでおくと良いでしょう。
オープンタイム後、半分ずつ下地材に圧着させます。この時、空気が入り込まないように、ゆっくり丁寧に接着させることがポイントです。
空気が入り込んでしまいニードルパンチカーペットの表面に凹凸が生じた場合は、表面が平滑で固いものを押し当てて空気をゆっくり抜いてください。この気泡を残しておくと施工不良になり、材料がめくり上がったり穴が開いたりする原因となります。
ジョイント部の切断
施工は1枚(幅1820mm)で済むことはほとんどなく、必ずと言って良いほどジョイント部が生じます。
ジョイント部の切断は重なっている部分を上から切りますが、2枚が若干重なるように意識し、やや重なる内側(切断する捨て線の内側)に沿ってカッターを当てて切ります。
こうすることで、最終的にローラーで均した際に、重なった数ミリの部分が押し込まれピッタリとニードルパンチカーペットが張れるようになります。
コーナー部の処理
壁際や窓際のコーナー部は少し技術が必要になります。コーナー部にステンレスなどの薄くて硬いヘラなどでニードルパンチカーペットを押し当てて、ヘラに沿ってカッターでカットします。
材料が硬い場合があり、ヘラで曲がらない可能性もあるため、その場合はドライヤーなどで温風を当てて、少し柔らかくなったら切断するとよいでしょう。
あまりにもコーナー部がガタガタになりすぎた場合は、不陸を拾いやすいビニル製の巾木などを張り、仕上がりを美しく見せる方法もあります。
ニードルパンチカーペットのおすすめ施工箇所
最後に、ニードルパンチカーペットを施工するのにおすすめの箇所をご紹介します。
オフィスや店舗などの人やモノの出入りが多い空間
ニードルパンチカーペットは、摩耗性や耐久性に優れているためオフィスや店舗、ホテルなどの不特定多数の人や物が出入りする場所に施工する場合に有効と言えます。
また、不織布が主材料であり多孔質構造であるため遮音性にも優れていることから、重歩行をする廊下やホールなどに施工することにより、足音や台車などの走行音などが緩和されて適していると言えます。
イベント会場などの仮設空間
ニードルパンチカーペットは施工性に優れているため、工期短縮や工種削減ができ、イベント会場や展示会場などの仮設空間への施工にも適しています。
メーカーによっては色やパターンなどの意匠のバリエーションにも優れているため、コストを抑えながら費用対効果が高い施工が可能になります。
また、空間の床全体でなくても、式典などのレッドカーペットやコンサートでの通路などの部分的な使用も可能であるため使い勝手がよい素材と言えます。
低予算の改修案件
ニードルパンチカーペットは、メーカーにもよりますが2000~3000円/㎡の商品が多く、施工も熟練工は必要としないため施工費を抑えることができます。
特に予算が決まっている改修案件では、躯体床や既存床への施工性にも優れているため工事費を削減することが可能です。
また商品自体の汎用性も高く、基本的には商品の調達が容易であるため納期の心配が少ないことも採用メリットの一つです。
自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!
今回は、ニードルパンチカーペットの施工について、商品の特性を踏まえながらお伝えしました。
マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。
さまざまな種類のニードルパンチを製造してきた実績がございますので、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。