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マルヰコラム

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不織布 特徴

2023年10月19日

不織布の耐熱温度は?原料別の融点や耐熱性を決める要因を知ろう

不織布の耐熱温度は?原料別の融点や耐熱性を決める要因を知ろう

不織布には使用している原料によって異なる耐熱温度があり、それぞれ適切な温度環境下での使用が求められます。

今回は、耐熱性を決める要因や原料別の融点について解説。さらに、耐熱温度を超えた不織布はどのようになってしまうのかや、耐熱温度の高い不織布はどのようなシーンで利用するのかなどについてお伝えします。

不織布の耐熱温度とは

不織布には耐熱温度がありますが、その耐熱温度に最も関わる要素は不織布に使われている原料の融点です。

融点は、物質が固体から液体に変わる温度を示しますが、物質が融点よりも高い温度にさらされると通常は液体状態になります。

不織布は一般的に、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、レーヨン、綿などの合成繊維や天然繊維を使用して作られています。そして、それぞれの繊維材料には異なる融点があり、それによって不織布の耐熱温度が変わるのです。

以下に、不織布に使用する主な原料の種類と耐熱温度を示します。

PP(ポリプロピレン)

PP(ポリプロピレン)は一般的な不織布材料で、耐熱温度は約120℃です。この温度を超えるとPPは溶解が始まる恐れがあります。

PE(ポリエチレン)

PE(ポリエチレン)は、一般的にポリプロピレンやポリエステルよりも低い耐熱性を持っており、一般的な耐熱温度は低密度ポリエチレン(LDPE)が70〜90℃、高密度ポリエチレン(HDPE)が90〜110℃とされています。

PET(ポリエステル)

ポリエステルは一般的に高い耐熱性を持っており、耐熱温度は約150°Cから180°Cの範囲、熱変形温度は240°Cですが、加工する製品によってその耐熱性は異なります。

PLA(ポリ乳酸)

PLAは、非晶状態では比較的低い60°Cで軟化が始まるため、高温環境での使用に適さない原料とされます。しかし、結晶化すると耐熱性が向上し、約100℃以上の温度でも使用できるようになります。

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不織布の耐熱性を決める要因

不織布の耐熱性を決める要因

不織布には耐熱温度があり、高温環境で使用する場合は適切な原料を使用して不織布を製造する必要がありますが、その不織布の耐熱性は、原料以外に以下の要因でも決定づけられます。

製造プロセス

不織布は、乾式法や湿式法、スパンボンド法などの異なる製造プロセスで作られることがあり、それによっても耐熱性が異なる場合があります。

不織布の製造プロセスの違いは、不織布の密度、組織、厚さ、強度などの特性に影響を与え、その結果として耐熱性に違いが生じます。

不織布の厚さと密度

不織布の厚さや密度は、耐熱性に影響を与えます。通常、より厚く密度の高い不織布は高い耐熱性を持つ傾向があります。

添加剤やコーティング

不織布には、耐熱性を向上させるために添加剤やコーティングが施されることがあります。

例えば、不織布の原材料に熱可塑性ポリマーを添加することで耐熱性を向上させたり、熱耐性のあるポリマーコーティングを施したりすることで、不織布が高温に耐える特性を持つようになります。

不織布の耐熱温度が超えるとどうなるか

不織布の原料の融点を超えた場合、不織布はどのようになるのでしょうか。

溶解

原料の融点を超えた温度では、不織布の原料は溶解し始めます。原料が液体状態になるため、不織布の固体構造が崩壊します。

物理的変化

原料が溶解すると不織布は柔らかくなり、その物理的強度が失われます。これにより、不織布は耐荷重性や耐引張性が低下して形状を保つ能力が減少します。

熱収縮

原料が液体状態になると、不織布は熱収縮することがあります。これは、不織布が高温に晒されるとその寸法が収縮する現象です。高温で加熱されると、より大きな収縮が発生する傾向があります。

機能喪失

原料が融点を超えると、不織布の機能が喪失します。例えば、物理的な強度や保護性がなくなり、不織布がその用途に適さなくなってしまいます。

耐熱温度が高い不織布の使用シーンは?

不織布の耐熱温度は原料の融点が大きく関わりますが、高融点の原料を使用して作られた耐熱性の高い不織布はどのようなシーンで活用されるのかをご紹介します。

屋外での使用

耐熱温度が高い不織布の使用シーンは?

耐熱温度の高い不織布は、直射日光や高温の屋外環境での使用を可能にします。その例としては、防草シートや農業用の不織布があげられます。

これらの不織布は草や雑草の成長を防いだり、土壌を保護したりする目的で使用されますが、耐熱性以外にも紫外線による劣化に強く、耐候性にも優れている必要があります。

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フィルター

高耐熱性を持つ不織布は、高温のガスや液体のフィルタリングに使用されます。

このようなフィルターは化学工場などで活用されますが、高温下で安定して機能する耐熱温度の高い不織布が選択されます。

耐熱温度の低い不織布製造の注意点

耐熱温度が高い不織布の製造よりも、耐熱温度の低い不織布を製造する方がノウハウが必要です。

なぜなら、耐熱温度の低い繊維を使用する場合、仕上げの熱処理工程で繊維が解けてしまう可能性があるため温度管理に関して注意を払わなければならないからです。

マルヰ産業では、仕上げ工程で繊維が解ける温度を超えないように正確な温度制御を行っています。それによって、繊維の特性を維持し、不織布が望ましい品質を得ることができます。

繊維の特性や熱処理に関する経験とノウハウを持つスタッフが対応するので、不織布の耐熱温度でご相談がある際はお気軽にお問い合わせください。

自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

今回は、不織布の耐熱温度についてお伝えしました。

マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。

耐熱性の高い不織布についてや、耐熱温度の低い繊維を利用した不織布の製造についてなど、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。