
高速道路の法面や公園・学校などの公共の場の雑草対策として注目を集めている「防草シート」。地面に敷くだけで雑草の発生を抑えられる便利なアイテムですが、その仕組みや効果を十分に理解せず導入してしまうと、かえって手間が増える可能性があります。
本記事では、防草シートが雑草の成長をどのように抑えているのか、そのメカニズムについて詳しく解説するとともに、導入のメリット・デメリット、主な使用場所まで幅広く紹介します。防草シートを設置する前に知っておきたい基礎知識として、ぜひ参考にしてください。
目次
防草シートとは
防草シートとは、地面に敷くことで雑草の発生を抑制し、雑草処理の負担を軽くしてくれるシートです。
草が伸びてから対処する草むしりとは異なり、防草シートは雑草が生える前の段階から予防として使用します。雑草対策としては、コンクリート舗装よりもコストを抑えられ、砕石に比べて高い防草効果が期待できる点が特徴です。
防草シートの寿命
防草シートは、日々紫外線や風雨の影響を受けながら徐々に劣化していくため、定期的な交換が必要になります。時間が経つにつれて表面が傷み始め、シートの一部が裂け、次第にその損傷が広がっていくのが一般的な経過です。
劣化のサインとして注目すべき箇所は、シートを固定しているピンの周囲や、端の部分です。このような箇所に破れが生じていれば、交換の検討時期といえるでしょう。
傷んだシートを放置すると、裂け目から雑草が生えてくるようになり、防草効果が落ちるだけでなく、草むしりの手間が発生してしまいます。気づかないうちに雑草が繁茂してしまうケースも少なくありません。
防草シートの寿命は製品ごとに異なり、使用されている素材や構造によって大きく変わります。選ぶ際には、目的や設置環境に適したタイプを見極めるようにしましょう。
関連記事:防草シートの寿命は?選び方・長持ちさせる方法について徹底解説!
防草シートで雑草が生えなくなる仕組み

雑草が成長するためには、空気中の二酸化炭素、水、そして太陽の光が欠かせません。防草シートはこのうちの「光」を遮断することで、雑草の光合成を妨げ、成長を抑える仕組みです。
防草シートの光を遮る性能は、「遮光率」という数値で表されます。遮光率が高いほど雑草を効果的に抑制できるので、商品を選ぶ際には遮光率を確認しましょう。
ただし、スギナやチガヤなどの生命力の強い雑草は、光が届かなくても地下茎から成長することがあります。そうした場合でも、防草シートを敷いておけば、雑草が地表へ突き抜けてくるのを物理的に防ぐことが可能です。
このように防草シートは、「光を遮って光合成を妨げる効果」と「雑草の突き抜けを抑える物理的な効果」の両面から、雑草の発生を防いでいます。
マルヰ産業が提供している防草シートは遮光率99%と高く、耐用年数は10年以上と高品質です。実際に高速道路の法面(のりめん)で使用されており、日本のインフラを支えています。マルヰ産業の製品について詳しく知りたい方は、以下のリンクからご覧ください。
防草シートのメリット

防草シートはただ雑草を抑えるだけでなく、地面の水たまりを防ぐ効果があるアイテムです。ここでは、防草シートのメリットについて深掘りします。
雑草の繁殖を防げる
防草シートの最大のメリットは、雑草の成長を抑制できる点にあります。先述した通り、防草シートを地面に敷くことで太陽光を遮り、植物が成長するために欠かせない光合成を妨げることが可能です。
防草シートは一度設置してしまえば、数年にわたり効果が持続します。頻繁な草むしりに追われることなく、手間をかけずにきれいな状態を保てるでしょう。
水たまりを防止できる
防草シートは、一般的なビニール素材とは異なり、水を通しやすい構造になっています。そのため、雨が降った際に地面に水たまりができにくく、泥はねやぬかるみの発生を防止することが可能です。
また、余分な水がたまらないことで、蚊などの害虫が繁殖しにくくなるメリットもあります。見た目の清潔さを保ちつつ、衛生面のリスク軽減にもつながるでしょう。
防草シートのデメリット
雑草対策として高い効果を発揮する防草シートですが、すべてがメリットばかりというわけではありません。ここでは、代表的な2つのデメリットを紹介します。
正しく施工しないと雑草が生えてしまう
防草シートは適切に設置されてこそ、その効果を最大限に発揮するものです。設置方法が正しくないと、スキマやシートのズレから雑草が顔を出してしまい、防草効果が大きく損なわれる可能性があります。
たとえば、シート同士を重ねて敷く場合、重なり幅が足りないと、その境目から雑草が生えてくることがあります。一般的には10cm以上の重なりを確保するのが理想です。
また、シートを敷く前に地面の雑草を取り除いておかないと、シートの下で雑草が盛り上がり、風でめくれてしまうケースがあります。確実に防草シートの効果を出すためには、事前に草取りと地面の整地作業をしっかりと行いましょう。
耐久性が低い製品だと頻繁な交換が必要になる
防草シートの耐用年数は、使用されている素材や構造によって大きく異なります。たとえば、織布タイプの防草シートの場合、3~5年での交換が必要です。敷設する場所の環境条件によっても劣化のスピードに差が出るので、状況に応じて適した防草シートを選ぶ必要があるでしょう。
頻繁な交換の手間やコストを避けたい場合には、最初から耐久性に優れた高品質な防草シートを選ぶのがおすすめです。初期投資がやや高くても、長期的に見ると交換の手間や追加コストを抑えられる可能性があります。
防草シートは素材・構造の違いで特徴が異なる

防草シートは、主に素材と構造の違いによっていくつかの種類に分けられます。それぞれについて、簡単に紹介します。
防草シートの素材による違い
防草シートの素材は、「ポリエチレン」「ポリプロピレン」「ポリエステル」の3つが主流です。それぞれの特徴を把握し、適した防草シートを選びましょう。
ポリエチレン製 |
・価格が安く寒冷地でも使用しやすい ・熱や紫外線に弱く耐用年数が短め |
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ポリプロピレン製 |
・酸やアルカリに強く雨などには強い ・熱や紫外線には弱い ・劣化を防ぐには人工芝や砂利などを併用するのが望ましい |
ポリエステル製 |
・耐用年数が最も長く、紫外線や熱にも強い ・価格が高く、酸性の雨水に長くさらされると劣化する可能性がある |
防草シートの構造による違い
構造の面では、「織布タイプ」と「不織布タイプ」に大別されます。それぞれの特徴は以下の通りです。
織布タイプ |
・軽量で施工がしやすく価格も安価 ・耐用年数は3〜5年程度と短く、こまめな交換が必要 |
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不織布タイプ |
・織布タイプと比べると高価 ・厚みや形状の調整が可能 ・耐用年数が10〜20年と長い |
不織布タイプは、さらに「長繊維タイプ」「短繊維タイプ」「多層不織布タイプ」の3種に細分化されます。
長繊維タイプは滑らかで掃除しやすく、雑草の突き抜けに強い一方、硬くて扱いにくい点がデメリットです。短繊維タイプは柔らかくて地面になじみやすく、雨音が響きにくい反面、雑草の突き抜けにはやや弱く、表面に落ち葉が絡まりやすい傾向があります。
多層不織布タイプは長繊維タイプと短繊維タイプの特徴を組み合わせた構造で、機能性と耐久性を両立できる高性能なタイプです。
マルヰ産業では、短繊維不織布を2層に重ねた多層タイプの防草シートを主力製品として扱っています。そのほか、他社製の不織布を基材に使用し自社製の表皮材を組み合わせたタイプや、短繊維不織布の1層タイプなど、用途に応じた防草シートを提供。高耐久な防草シートでさまざまな場所の雑草対策に貢献しています。
関連記事:防草シートの素材と種類|耐用年数やメリット・デメリットを紹介
防草シートが使われている場所

防草シートは雑草対策として広く利用されており、その活用範囲は多岐にわたります。個人の住宅では庭や敷地の周辺、農地では作物の生育を妨げないよう管理エリアに敷かれることが一般的です。
また、高速道路の法面や公園・学校など、公共の場でも防草シートが活用されています。さらに、ソーラーパネル周辺や空き地、駐車場、発電所といった設備の保全のためにも防草シートの導入が進んでいます。
近年では、景観に配慮したデザイン性の高い製品が登場しており、防草シートは快適な暮らしや安全性の向上、景観維持にも役立つ多機能な対策として注目されています。
自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

今回は、防草シートの仕組みやメリット・デメリットについてお伝えしました。
マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。
弊社では耐用年数10年以上の防草シートを生産しており、道路や学校、公園の工事に役立てていただけるよう、防草シートの寄付活動を行っております。雑草対策を通じて、町の安全や快適な環境作りへの貢献を目指しています。
機能性を持たせた不織布の製造が可能ですので、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。