防草シートには、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステルなどの素材や、織布タイプ・不織布タイプといった種類があります。そのため、素材や種類ごとの特徴や耐用年数を把握し、設置環境・目的に適した防草シートを選ぶ必要があります。
本記事では、防草シートの素材や種類、防草シートの選び方について詳しく解説します。
目次
防草シートの素材
主に防草シートの素材として扱われているのは、主にポリエチレン・ポリプロピレン・ポリエステルの3つです。以下では防草シートの素材について詳しく解説します。
| 素材 | 耐用年数 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| ポリエチレン | 最も耐用年数が短い | ・合成樹脂で作られているため、材料コストが抑えられ、比較的安い値段で購入できる ・低温の環境に強く、寒い冬場でも利用できる |
・定期的に交換が必要 ・熱、紫外線に弱い |
| ポリプロピレン | 耐用年数はポリエチレンとポリエステルの中間 | ・酸、アルカリに強い ・雨などが原因で劣化する心配はあまりない |
・熱、紫外線に弱い ・上に人工芝や砂利を敷かずに使うと劣化が早くなる |
| ポリエステル | 最も耐用年数が長い | ・熱、紫外線に強く劣化しにくい、長く使用できる | ・酸、アルカリに弱く、雨水に長期間さらされると劣化する恐れがある ・価格は高め |
素材①ポリエチレン
ポリエチレン製の防草シートは、合成樹脂で作られていることから低価格で導入しやすく、コストパフォーマンスに優れています。また、低温に強く、寒冷地でも問題なく使用することが可能です。
ただし、熱や紫外線に対して耐性が低いというデメリットがあります。ポリエチレン製の防草シートを使用する場合は、定期的に交換が必要です。
素材②ポリプロピレン
ポリプロピレン製防草シートの耐用年数は、ポリエチレン製とポリエステル製の中間程度です。酸やアルカリに強く、雨にさらされても劣化しにくいため、屋外でも安心して使用できます。
しかし、ポリエチレンと同様に熱や紫外線には弱く、人工芝や砂利を上に敷かずに使用すると劣化が早まることがあります。
素材③ポリエステル
ポリエステル製の防草シートは、最も耐用年数が長く、長期的な使用に適しています。熱や紫外線に強く劣化しにくいので、メンテナンスの手間を減らせるでしょう。
一方で酸やアルカリには弱く、雨水に長くさらされると劣化する恐れがあります。また、他の素材に比べて価格が高額な点がデメリットです。
防草シートの種類

防草シートには織布タイプと不織布タイプの2種類があります。それぞれの耐用年数やメリット、デメリットについて紹介します。
| 種類 | 耐用年数 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 織布タイプ | 3~5年程度 | ・軽い ・安価で手に入る ・引っ張りに強い ・施工が簡単 |
・耐用年数が短い ・ほつれやすい ・厚みや強度の調整がしづらい ・こまめな交換が必要 |
| 不織布タイプ | 10~20年程度 | ・高い強度を持つ ・厚みの調整が可能 ・ほつれにくい ・耐久性が高く、長期間使用可能 ・張り替えの頻度が少ない ・自由な形状で使用できる |
・重さ、固さがある ・織物タイプに比べると高い ・施工に手間がかかる |
織布タイプ
織布タイプの防草シートは、軽量で取り扱いやすく、手軽に施工できる点が特徴です。また引っ張りに対して強いことから、敷設後にズレにくいというメリットがあります。不織布タイプと比べると、コストを抑えて使用できる防草シートです。
ただし、厚みや強度の調整が難しく、ほつれやすいというデメリットがあります。耐用年数は3〜5年程度であり、こまめな交換が必要になるでしょう。
不織布タイプ
不織布タイプの防草シートは、耐用年数が10〜20年と長く、強度に優れているのが特徴です。厚みを調整しやすく、形状の自由度が高いため、敷設する場所に合わせて柔軟に対応できます。また、ほつれにくくメンテナンスの手間が少ない点もメリットです。
ただし、織布タイプに比べると重量があり、価格も高めになる傾向があります。さらに、施工にやや手間がかかることも考慮しなければなりません。
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不織布タイプの防草シートの種類

防草シートの種類は、織布タイプや不織布タイプに分けられますが、不織布タイプのなかでさらに長繊維タイプ、短繊維タイプ、多層不織布タイプに分類できます。それぞれの特徴について、詳しく紹介します。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 長繊維タイプ | ・繊維の1本が長く、滑らかで光沢がある ・掃除がしやすい ・雑草の突き抜けを抑えられる強度がある |
| 短繊維タイプ | ・繊維1本の長さは1㎜〜128㎜程度で短く、フェルトのような質感 ・施工しやすい ・雨音が響きにくい |
| 多層不織布タイプ | ・複数の層が重なっている ・組み合わせはさまざま |
長繊維タイプ
長繊維タイプとは、長い繊維を絡み合わせて熱で圧着した不織布で作られた防草シートのことです。
国際的な定義はないものの、長繊維は一般的に1本の繊維が1000m以上の長さを持つ繊維とされています。繊維が長くつながっていることから、表面が滑らかで光沢があり、紙のような質感が特徴です。
長繊維タイプの防草シートは表面の毛羽立ちが少なく、落ち葉や土埃が付着しても掃除しやすいというメリットがあります。また、高密度な構造により、葉先が鋭いチガヤやスギナなどの雑草に対して強い耐性を発揮します。
しかし、長繊維タイプの防草シートは質感が硬く、柔軟性に欠ける点がデメリットです。施工時にシートが跳ね返りやすく、他の防草シートと比べると扱いにくさを感じる場合があるでしょう。さらに、凹凸のある地面に設置するとシートと地面の間に空間ができやすく、雨が降った際に太鼓のように音が響くことがあります。
短繊維タイプ
短繊維タイプは、1本の繊維の長さが1〜128mm程度の短い繊維を使用した防草シートです。長繊維タイプに比べてコストや強度が劣るものの、化学接着剤を用いて複数の繊維を組み合わせて加工すれば、耐久性や強度を高めることが可能です。
短繊維タイプの防草シートはフェルトのような柔らかい質感で、柔軟性に優れており、地面の凹凸にしっかりとフィットします。そのため、地面との隙間ができにくく、雨が降っても音が響きにくい点がメリットです。
一方で、繊維同士の隙間が比較的大きいことから、透水性に優れていますが、葉先の鋭い雑草が突き抜けやすいというデメリットがあります。また、表面が毛羽立ちやすく、落ち葉や土埃が絡まって掃除の手間がかかる場合があります。
多層不織布タイプ
多層不織布タイプの防草シートは、長繊維や短繊維を単層で使用するのではなく、複数の層を重ねた構造になっています。長繊維と短繊維を使用したタイプや、短繊維を2層に重ねたタイプなど、組み合わせはさまざまです。
多層構造にすることで、それぞれの繊維の特性を活かしながら、強度や耐久性を高められます。たとえば、表面に短繊維を用いて雨音を響きにくくし、裏面に長繊維を使用して雑草の突き抜けを抑えることが可能です。
マルヰ産業では多層不織布タイプを生産
マルヰ産業では、高耐久な多層不織布タイプの防草シートを生産しています。特に主力となっているのは、短繊維不織布2層タイプです。
そのほか、他社製の不織布を基材に使用し、自社製の表皮材を組み合わせたタイプを製造しています。不織布の貼り合わせには、ニードルパンチや接着剤によるボンディング加工等を採用。繊維同士をしっかりと固定して強度を高めています。
さらに、マルヰ産業では短繊維不織布の1層タイプの生産にも対応しており、用途や環境に応じた選択が可能です。高い耐久性を持つマルヰ産業の防草シートは、メンテナンスの手間を減らし、快適な環境を長く維持できます。
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防草シートの選び方

防草シートを選ぶ際には、遮光率や透水性、耐用年数を確認することが重要です。適切なシートを選ぶことで、雑草の繁殖を抑え、メンテナンスの手間を減らせるでしょう。ここでは、防草シートの選び方について詳しく解説します。
遮光率は高いか
防草シートを選ぶ際には、遮光率の高さをチェックしましょう。遮光率とは、日光を遮る割合のことです。雑草の成長には日光や水、土、空気が欠かせません。
遮光率が高い防草シートを使用すれば雑草の光合成を妨げられ、育ちにくくなります。特に日差しが強い場所や雑草が繁殖しやすい環境では、遮光率の高い防草シートを選ぶのがおすすめです。
なお、薄手だったり織り目が粗かったりする防草シートは、遮光率が低くなることが一般的です。購入前にシートを光に透かしてみて、どれくらい光を遮断しているかを確認してみましょう。また、遮光率が数値(%)で表示されている商品の場合は、事前にチェックしておくことをおすすめします。
透水性に優れているか
次に、透水性が優れているかどうかを確認することが大切です。防草シートに水が通過してしまうと雑草が育ちやすくなるように思えますが、日光を遮っていれば雑草の繁殖を抑えられます。
透水性が低いシートを使うと、雨が降った際に水たまりができやすくなり、そこに雑草の種子が飛んできて発芽する可能性があります。また、害虫が発生する原因にもなるため、透水性は高いほうがおすすめです。
さらに、水はけが悪い状態が続くと、シートが湿ったままになり、劣化が早まる恐れがあります。長期間の使用を考えている場合は、透水性に優れた防草シートを選ぶことが大切です。
耐用年数は適しているか
防草シートは、使用期間に応じて適切な耐用年数のものを選びましょう。短期間のみの使用ならコストを抑えたタイプで問題ありませんが、長期間にわたって使用する場合は、耐用年数が長く強度のあるものがおすすめです。
防草シートの耐久性は、素材や種類によって異なります。一般的に価格が高いものほど耐久性に優れ、長く使える傾向がありますが、反対に安価なシートは雑草が生えやすく、劣化が早くなる傾向があります。
マルヰ産業では、耐久性に優れた不織布タイプの防草シートを製造しています。メンテナンスの負担を軽減し、快適な環境を長く保てる防草シートをお探しの方は、ぜひご相談ください。
高い耐久性を持つ防草シートを生産!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

今回は、防草シートの素材についてお伝えしました。
マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。
機能性を持たせた不織布の製造が可能ですので、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。