工場見学

採用情報

お問い合わせ

工場見学

採用情報

お問い合わせ

マルヰコラム

COLUMN

繊維リサイクル

2025年1月23日

再生繊維「リサイクルポリエステル」とは?メリット・デメリットまとめ

再生繊維「リサイクルポリエステル」とは?特徴やメリット・デメリットまとめ

環境問題への関心が高まるなか、再生繊維「リサイクルポリエステル」が注目されています。リサイクルポリエステルは、ペットボトルや繊維製品などの廃棄物を原料に再利用して作られるポリエステル繊維です。マルヰ産業では長年、リサイクルポリエステル繊維を使用した不織布を生産し、日本国内のマテリアルリサイクルに貢献しています。

本記事では、そんなリサイクルポリエステルの概要からメリット・デメリット、さらにポリエステルのリサイクル方法まで詳しく解説します。

再生繊維「リサイクルポリエステル」とは

再生繊維「リサイクルポリエステル」とは

リサイクルポリエステルは、ペットボトルや繊維製品、フィルムくずなどの廃棄物を原料に再利用して作られるポリエステル繊維です。「再生繊維」の一種として分類され、環境にやさしい素材として注目を集めています。

通常のポリエステルは石油を主な原料としていますが、リサイクルポリエステルは廃棄物を再利用するため、新たな石油の使用を削減できます。また、純粋な原料で作られる「バージンポリエステル」と比較すると、製造過程での二酸化炭素(CO₂)排出量が少ない点が大きな魅力です。

このようにリサイクルポリエステルは、廃棄物の削減や二酸化炭素排出量の低減に寄与する素材として広がりつつあります。地球環境を考えた選択として、今後さらに注目されていくでしょう。

関連記事:バイオプラスチックとバイオマスプラスチックの違いは?生分解性プラスチックの理解も深めよう

リサイクルポリエステルの現状

ポリエステル(PET)は非常に優れたプラスチックであり、衣類や敷物などの多くの繊維製品をはじめ、ペットボトルやフィルムなどにも幅広く使用されています。しかし、地球環境問題の観点から、石油由来のプラスチックがもたらす環境負荷への対策が求められています。

そこで繊維業界では、対策の一環としてポリエステルのリサイクルに取り組んできました。たとえば、ペットボトルやフィルムを回収し、リサイクルポリエステルの繊維の原材料として再利用。このリサイクルポリエステル繊維は、石油由来のバージン繊維と比べて安価に購入でき、多くの不織布で使用されるようになりました。

ただし現在は、プラスチックのリサイクル技術が発展する一方で、リサイクル原料の価格が高騰。過去4年間でリサイクルポリエステル繊維の価格が20~30%上昇しているため、さらなる課題への対応が求められています。

リサイクルポリエステルの原料の多くはペットボトル

リサイクルポリエステルの原料の多くは、身近なペットボトルです。ペットボトルの主成分ポリエチレンテレフタレート(PET)は、ポリエステル繊維と同じ原料になります。回収されたペットボトルを洗浄・粉砕し、細かいフレーク状に加工することで、再びポリエステル繊維の原料として生まれ変わることが可能です。

またペットボトルは、容器包装リサイクル法によって回収・資源化が義務付けられており、全国の自治体や企業による効率的なリサイクルシステムが整っています。2023年度の日本全国におけるペットボトル(飲料、特定調味料、酒類)の販売量は、約636千トンでした。そしてペットボトル回収量の合計は約589千トン、回収率は92.5%です。このようにペットボトルは、他より手に入れやすい再生原料といえます。

リサイクルポリエステル繊維のメリット

リサイクルポリエステルのメリット

環境に優しいだけでなく、機能面やコストパフォーマンスに優れたリサイクルポリエステル。多方面で優れたリサイクルポリエステルのメリットを3つ紹介します。

プラスチックごみの削減が期待できる

ペットボトルをはじめとするプラスチックごみは、廃棄物のなかでも特に発生量が多く、深刻な海洋汚染の原因のひとつです。海に漂着したプラスチックごみを、魚や海鳥が誤って飲み込むことは珍しくありません。また、波や日光の影響で細かく砕けて直径5mm以下の「マイクロプラスチック」となり、長期間自然界に残存するともいわれています。

リサイクルポリエステルを使用すれば、プラスチックごみを資源として再利用することが可能です。たとえば、ペットボトルからリサイクルポリエステルを作り出すことで、使用後のペットボトルが廃棄物ではなく、新たな素材へと生まれ変わります。リサイクルポリエステルによって、海洋汚染の原因となるプラスチックごみの低減が期待できるでしょう。

二酸化炭素(CO₂)排出量を抑えられる

通常のポリエステルは、石油や天然ガスといった化石資源を原料にしており、その廃棄時には大量の二酸化炭素(CO₂)が排出されます。

一方でリサイクルポリエステルは、主に回収したペットボトルを原料とします。化石資源の使用を抑えるだけでなく、焼却処分を減らすことで、二酸化炭素(CO₂)排出量の削減にも役立つでしょう。

軽量かつ速乾性がある

リサイクルポリエステルは、従来のポリエステルのメリットがそのまま残った素材です。軽くて速乾性が高く、紫外線を防ぐ特性を持っており、特にスポーツ用衣類に適しています。

さらに、耐久性が高く長く使えるリサイクルポリエステルは、コストパフォーマンスにも優れています。環境に優しいだけでなく、機能性と実用性を兼ね備えた素材です。

リサイクルポリエステル繊維のデメリット

リサイクルポリエステルは環境に優しく、多機能な素材ですが、使い方によっては注意が必要な点もあります。

まず、合成繊維であることから、静電気が発生しやすいという特徴があります。特に乾燥した季節やニット素材として加工された場合は、衣類を脱ぎ着するときにパチパチとした静電気を感じることがあるかもしれません。

また、摩擦に弱く、毛玉ができやすいという点にも注意が必要です。頻繁に使用する衣類やバッグなどがリサイクルポリエステルの場合、使用後はブラシで軽くケアするなどの工夫が求められます。

ポリエステルのリサイクル方法

ポリエステルのリサイクル方法

リサイクルポリエステル繊維について紹介しましたが、ポリエステルはどのようにリサイクルされるのでしょうか。ポリエステルをリサイクルする方法は、大きく分けて3つです。それぞれの特徴について、詳しく解説します。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは、使用済みの製品や廃棄物を分子レベルにまで分解し、原料に戻して再利用する方法です。繊維製品の場合は、以下のような流れで再利用されます。

  1. 回収した合成繊維製品を工場で洗浄・粉砕などして化学的に分解
  2. 元の原料であるDMT(ジメチルテレフタレート)に戻す
  3. 繊維の原料として再利用される

ケミカルリサイクルの利点は、幅広い製品や廃棄物からリサイクルができることです。ただし、リサイクルするまでの工程が多く、後述するマテリアルリサイクルと比べて費用が高額になります。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは、材料の形状を保ったまま再利用する方法です。工程が簡単かつ低コストである一方、品質管理が難しい場合があります。マテリアルリサイクルの具体例は以下の通りです。

ウエス古着を裁断して、雑巾や工場の油拭き用の布として利用する方法
反毛古着を細かく裁断し、無数の針を使って繊維をわた状に解きほぐす方法
再溶解合成繊維製品を加熱・溶融し、プラスチックなどの成形品の原料として再利用する方法

サーマルリサイクル

サーマルリサイクルは、他の可燃ごみと一緒に焼却してエネルギーとして活用する方法です。汚染がひどかったり、分別が難しかったりした場合に適用されます。

合成繊維を扱うメーカーなどでは、繊維廃棄物から金属を取り除き、自社工場の石炭ボイラーの燃料として利用する取り組みが行われています。

リサイクルポリエステル繊維を活かしたマルヰ産業の取り組み

今回は、インバータの仕組みや役割などをあげながら、マルヰ産業のインバータなどの制御機器を用いた将来への展望などをご説明しました。

マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。

弊社は長年、リサイクルポリエステル繊維を使用した不織布を生産し、日本国内のマテリアルリサイクルに貢献してまいりました。自動車や土木、インテリア、産業資材などの全用途の不織布に、リサイクルポリエステルを使用しています。今後も不織布生産を通して、さらにマテリアルリサイクルに貢献できるよう取り組んでまいります。

不織布に関して、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。