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マルヰコラム

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繊維機械

2024年6月13日

繊維機械のインバータの役割とは?不織布製造にも欠かせない仕組みを解説

繊維機械のインバータの役割とは?不織布製造にも欠かせない仕組みを解説

インバータは工場の生産力を向上させ、産業の発展に大きく貢献している機械。繊維機械の分野においてインバータ制御は、生産条件の調整を細かく行えるためなくてはならないものです。

今回は、インバータの仕組みや役割などをあげながら、マルヰ産業のインバータなどの制御機器を用いた将来への展望についてご説明いたします。

インバータとは

インバータとは、電力会社から供給される(入力される)一定電圧・周波数の交流(AC)を可変電圧・可変周波数の交流電流(AC)に変換して出力し、さまざまな電気機器の複雑な操作を制御できるようにする機械のことです。

このインバータを利用すると、モーターの回転数を変化させて、負荷に応じて電気機器を正確に制御することが可能となるため、私たちの身の回りの電気製品(エアコンや洗濯機など)に多く採用されています。

インバータが搭載されていない電気製品は、運転の発停作業(ONとOFF)しか行えない、無駄な電力を消費する…など、扱いづらく不経済なものとなってしまいます。そのため、あらゆる電気機器にとって、複雑な作業や負荷に応じた作業ができるインバータはなくてはならない存在だと言えます。

インバータの仕組みを解説

インバータの仕組みを解説

次に、インバータの仕組みについて解説します。

インバータは単体回路ではなく、コンバータ回路とコンデンサとインバータ回路から構成され、この3つの要素を含んだ装置の全体を指します。

では、以下でそれぞれについてご説明します。

コンバータ回路(整流)

コンバータ回路は、電力会社からの一定の交流(AC)を直流(DC)に変換します。

商用電力として流れてくる交流は、正弦波であり、時間と共に波の向きや周波数が周期的に変化するため、そのままの状態では電圧や周波数を電気機器に合わせて変化させることができません。

よって、まずコンバータ回路で一定の交流を直流に変換させます。この交流を直流に変換する作業を「整流」と呼び、直流に変換するために、逆方向の電流を流さない半導体素子ダイオードを使って順方向の電流を通していきます。

そして正方向と負方向の波の全ての山に電流を通すことを「全波整流」と呼び、波形を加工しやすいように整えていきます。

コンデンサ(平滑)

次に、コンバータ回路で整えた綺麗な形の正弦波を、コンデンサで重電と放電を繰り返しながら、波を平滑にし、直流(直線)に近い形に変換します。

以下に交流と直流の特徴を参考としてあげます。

交流の特徴:
電圧の上げ下げがしやすく(波が一定周期で最大値と最小値をとる)、高圧送電による電力損失が少ない。発電所から各家庭に送電するのにとても向いている。

直流の特徴:
回路に進みや遅れがなく(直線なので)、安定した電力を供給できる。汎用的な電気機器での利用に向いている。

インバータ回路(PWM)

最後にインバータ回路で電圧と周波数を変えた交流電流を出力します。

この直流/交流変換の仕組みは「IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)」などの絶縁ゲート型バイポーラトランジスタをスイッチさせて、ONとOFFの間隔を変えて幅の異なるパルス波(方形波・矩形波)をつくります。

それらを合成して、出力としての正弦波をつくります。これは半導体のONとOFF状態が最も電力損失が少ないことを利用した制御方式で、「パルス幅変調(PWM(Pulse Width Modulation))」と呼ばれています。

繊維機械におけるインバータの役割

繊維機械におけるインバータの役割

次に繊維機械におけるインバータの役割について解説します。

繊維機械には、ニードルパンチ機やカード機、ベルトコンベアなどモーターを用いた高速回転する加工機など多くの種類が存在します。

これらの繊維機械をインバータ制御することで、適切な生産条件が設定できます。つまり、インバータ制御は不織布を始めとする繊維製造になくてはならないものなのです。

以下に繊維機械でのインバータの役割の一部をご紹介します。

材料や製品の流れの制御

繊維製品をつくる上での自動化に欠かせないのがコンベアです。材料を加工機に運んだり、加工した材料を次の工程に運んだりする生産ラインをつなぐ重要な機械です。

コンベアにインバータを用いることで、低速で始動し停止する「スタート・ストップ」のような動きと、ある任意の時間で加速や減速をする動きを設定することで、材料や製品を目的に合わせて合理的かつ安全に運ぶことができます。

また、材料の大きさや荷重などの負荷に合わせて適切に電流を流すことで、電源側の負担が減り、電源設備の最小化にもつながります。

加工機の制御

材料を加工する上でもインバータは欠かせません。

例えば、弊社の代表商品の一つのニードルパンチカーペットを加工する際にも、ニードル機でウェブ状になった原綿を特殊針で交絡させていきます。

この時のニードル機の交絡回数や強さをインバータで調整することで、製品の強度・密度などの品質を変えることができるのです。

工場全体の省エネ化

繊維機械において、接着剤や高圧水流などを繊維に吹付けて加工することが多くありますが、その際にもインバータが重要な役割を果たします。

例えば、繊維の種類や加工の要件によっては、吹付ける液体の量や圧力を調整する必要があります。インバータを使用することで、モーターの回転数を柔軟に変化させることができ、必要な液体の量や圧力を適切に調整することが可能です。これにより、省エネ効果を高めながら、生産性や加工品質の向上も期待できます。

繊維機械のインバータ導入について

これまで、合理的な生産に欠かすことができないインバータの役割についてお伝えしてきましたが、インバータの導入は簡単にできるものなのでしょうか。

一般的に、繊維機械の分野に限らずインバータの導入や交換は、その工場や機械、生産ラインが持つ課題を踏まえる必要があるため、専門的なノウハウが必要となってきます。また、機械との配線工事も多岐にわたり、非常に大きな工事となります。

繊維機械の分野においては、インバータ導入のような電装化が進んでおらず、技術者不足や機械の社会的・物理的劣化は多くの工場が抱える問題の一つでもあります。

弊社マルヰ産業では、将来的な繊維機械の電装化に向けてシーケンサやインバータの導入を積極的に行い、これらを駆使する知識・ノウハウによって、産業の発展に寄与したいと考えております。

自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

今回は、インバータの仕組みや役割などをあげながら、マルヰ産業のインバータなどの制御機器を用いた将来への展望などをご説明しました。

マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。

機能性を持たせた不織布の製造が可能ですので、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。