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マルヰコラム

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2024年4月9日

生分解性プラスチックの分解時間の目安は?分解されやすい不織布を製造するために

生分解性プラスチックの分解時間の目安は?分解されやすい不織布を製造するために

生分解性プラスチックの分解時間はプラスチックの種類や形状、そして環境条件によって異なります。

そこでこの記事では、生分解性プラスチックの分解時間に影響を与える要因や、種類ごとの分解時間の目安をお伝えします。

また、生分解性プラスチックを用いた不織布の分解を促進させるためにできることについても考察します。

生分解性プラスチックとは

生分解性プラスチックは、環境中で微生物や酵素の作用によって分解される特殊なプラスチックです。

一般的なプラスチックは石油由来の合成高分子でできており、自然界での分解に数百年かかると言われています。また、環境中に長期間放置される過程で土壌や水域を汚染したり、生態系に悪影響を及ぼしたりする危険をはらんでいます。

さらに、一部のプラスチックは自然界での分解がほとんど、もしくは全く行われないこともあるのです。

そのため、プラスチックの使用量削減やリサイクルや持続可能なプラスチックの開発、適切な廃棄方法の確立が求められる中で、生分解性プラスチック利用への関心が高まっています。

生分解性プラスチックが時間をかけて分解される原理

生分解性プラスチックが時間をかけて分解される原理

生分解性プラスチックは、環境中の微生物や酵素の作用によって分解されることが特徴です。一般的な生分解性プラスチックの分解原理には、以下のようなものがあります。

微生物による分解

生分解性プラスチックは、環境中に存在する微生物によって分解されます。微生物はプラスチックをエネルギー源として利用し、プラスチックの分子を分解する酵素を分泌します。この過程でプラスチックは小さな断片や有機物に分解されます。

酵素の作用

生分解性プラスチックは、特定の酵素によって分解されることがあります。これらの酵素は、プラスチックの分子結合を切断し、より小さな化合物に変換します。

光や酸素の作用

生分解性プラスチックは、紫外線や酸素の作用によっても分解されることがあります。紫外線はプラスチックの分子結合を切断し、酸素はプラスチックを酸化して分解します。

生分解性プラスチックの分解時間が変わる要因とは

材料の種類

生分解性プラスチックは、多様な材料から作られており、それぞれの材料によって分解速度が異なります。例えば、ポリ乳酸(PLA)やポリヒドロキシアルカノエート(PHA)などの特定の生分解性プラスチックは、適切な環境下であれば比較的短い期間で分解される傾向があります。

環境条件

分解速度は、環境の条件にも大きく影響されます。温度、湿度、酸素の有無、微生物の存在などが分解速度に影響を与えるのですが、一般的に、温度や湿度が高いほど分解が促進されます。

プラスチックの厚さ

生分解性プラスチックの厚さも分解速度に影響します。厚いプラスチックは、表面積が小さくなるため、分解が進行しにくい傾向があります。

微生物の種類

分解速度は、周囲の微生物の種類や活性にも影響されます。特定の微生物がプラスチックを分解する能力を持っている場合、分解速度が速くなることがあります。

添加物や補強材料

生分解性プラスチックには、分解を促進するための添加物が含まれることがあります。これらの添加物や補強材料の種類や量によって、分解速度が変化することがあります。

これらの要因が組み合わさって、生分解性プラスチックの分解速度が決まるため、実際の環境下での分解時間は非常に変動が大きく、一概に分解時間を明確に言えるものではありません。

生分解性プラスチックの分解時間の目安

生分解性プラスチックの分解時間は、これまでお伝えしてきた要因によって異なりますが、一般的には、以下のように考えられています。

ポリ乳酸(PLA): 6ヶ月から2年程度
ポリヒドロキシアルカンノ酸(PHA): 1年から3年程度
ポリブチレンセクシナート(PBS): 1年から5年程度

上記の分解時間は、あくまでも素材にあった温度と湿度、分解する微生物が存在していることが前提です。

ここから、PLA(ポリ乳酸)100%のTシャツが分解する経過を記録したものを示します。


画像及びデータ提供:ハイケム株式会社

このPLA(ポリ乳酸)100%のTシャツは、

堆肥温度:68℃(3日後、引き上げ時の温度)、水分量50%前後

の条件下で埋められたものです。

画像にある通り、6日目でTシャツとしての形を成さなくなっており、完全分解までそこまで時間を必要としない状態になっています。

このように、生分解性プラスチックの分解を促進するには、素材に適した温度や湿度、酵素や微生物の存在など環境条件を整えることが重要です。

生分解性プラスチックを利用した不織布の分解時間短縮のために

不織布は土にかえる?土に分解されるまでの経過や使用用途について

愛知県産業技術研究所の「生分解性ロープの土中分解性・耐候性の評価」によると、生分解性プラスチックを用いたロープの分解を促進したい場合は、繊維を細くする方が分解が進みやすいことがわかります。

参考:愛知県産業技術研究所「生分解性ロープの土中分解性・耐候性の評価」

マルヰ産業では、生分解性プラスチックを利用した不織布の開発にも取り組んでいますが、この研究を参考にするのなら、不織布の繊維も細くする方が適切な条件下で分解が促進されるはずです。

また密度についても、熱や水分を吸収しやすくするなど加水分解を促進するための調整をすることで、分解時間をコントロールできるかもしれないと思っています。

さらに、マルヰ産業では、自社の工場内で1年前からPLA不織布を土壌に埋めて生分解の経過観察をしております。そこで分かったことを次の開発に活かし、より環境負荷の低いPLA不織布の開発に励んでいく所存です。

自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

今回は、生分解性プラスチックの分解時間についてお伝えしました。

マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。

機能性を持たせた不織布の製造が可能ですので、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。