不織布とは、繊維を一定方向またはランダムに集積し、接着樹脂などで結合してつくられるものです。不織布は、その構成する繊維の長さで、「長繊維」と「短繊維」に大別されます。
ここでは、「長繊維」と「短繊維」の違いについて、各製造工程やその特徴、適した製品などと併せて解説します。
目次
不織布とは
不織布とは、繊維を3次元構造(一定方向またはランダム)に重ね合わせて、化学的・機械的な方法で結合した多孔質のシート状の素材のことです。英語では“non-woven fabric”と記され、織られていない布と表現されています。
不織布は、多孔質(ポーラス)構造であるため通気性、ろ過性、保温性などに優れており、多様な素材を組み合わせることで強度を向上させることができる加工性に富んだ材料です。
また、従来の布のように紡糸して、「織る・編む」といった工程がないため、早く大量に生産できる点もメリットとして挙げられます。
デメリットとしては、洗濯などへの耐久性が弱く、印刷適正も優れていないことから、長期的に使用する部材には、従来の布と比較して性能が劣る点が挙げられます。
不織布には長繊維と短繊維がある
不織布は、構成する繊維の長さによって「長繊維」と「短繊維」に大別することができます。以下に、長繊維と短繊維の特徴をご説明します。
不織布の長繊維とは
長繊維(フィラメントヤーン)とは、国際的な定義はありませんが、1本の繊維が長い繊維のことであり、目安として長さが1000m以上の繊維と認識されています。
長繊維は、繊維の1本1本が繋がっていることから、大きな特徴として滑らかで光沢がありペーパーライク(紙のような風合い)に製品をつくることができます。
不織布の短繊維とは
短繊維(ステープルファイバー)とは、繊維一本の長さは1㎜〜128㎜程度のもので、大きな特徴として、嵩高(かさだか)性が高く、フワフワ感や弾力性が必要な商品に採用されます。
長繊維と比較して、コストや強度に劣りますが、化学接着剤の使用により複数の繊維を混合して加工することで、耐久性などの多様な性質を加味することが可能です。
繊維の種類別適する不織布製品
不織布の「長繊維」と「短繊維」それぞれに適する具体的な商品とその理由をご紹介します。
長繊維の製品 | 適する理由 |
---|---|
不織布かばん | 薄くて強度がある不織布になる |
風呂敷、包装資材 | 紙のように薄くて表面は滑らか、かつソフトな質感で柔軟性が高い |
テーブルクロス | 同上 |
短繊維の製品 | 適する理由 |
カーペット | ボリュームを出せるので、クッション性や断熱性能、吸音性能がある。色々な繊維を混ぜて加工し、さまざまな意匠や機能が持たせられる。 |
自動車内装材 | 同上 |
長繊維の製品は、かばんや風呂敷、包装資材、テーブルクロスなどがあり、適する理由としては、形状を自由に変えられるほど薄く、強度や柔軟性にも優れているという特徴があるからです。
短繊維の製品には、カーペットや自動車内装材などがあり、断熱性や吸音性能に優れている点がそれらに適しているとされています。
繊維によって変わる不織布の製造方法
「長繊維」と「短繊維」は、原料となる繊維やそのものの長さが異なるため製造方法も大きく異なります。
以下に、「長繊維」と「短繊維」の製造方法とその特徴をご紹介します。
長繊維の製造方法
天然繊維では、蚕からつくられる絹(シルク)からのみ製造できます。
生物から採取されるため長さは有限ではありますが、限りなくエンドレスであるという認識で長繊維に分類されます。
化学繊維での製法は、口金と呼ばれるシャワーヘッドのような形状の穴の開いたノズル(放出口)から原料となる樹脂を押し出して繊維状にしていきます。
このような製法によってつくられるため、長さに関しては理論的にはエンドレス(無限)とされています。
短繊維の製造方法
天然繊維では、動植物の羽や繊維から採取するコットン、ウール、麻などがあります。前述した絹(シルク)以外の天然繊維は短繊維です。
化学繊維の製法は、長繊維と同じようにシャワーヘッド状のノズルから樹脂を押し出し、その後必要な繊維の長さに合わせて裁断して製造します。
したがって、エンドレスでノズルから樹脂を押し出すまでは同じで、カットすると短繊維になります。
自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!
不織布の繊維の種類についてお伝えしました。
弊社が扱うものは、全て「短繊維」の繊維を使用した不織布であり、さまざまな繊維を組み合わせて性能を向上させてニーズに応じた商品を製造しております。
マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。
日用雑貨や土木資材用のフェルトも、ご希望に合わせてお作りしています。
「不織布やフェルトについてくわしく知りたい」など、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。