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マルヰコラム

COLUMN

バイオマスプラスチック

2022年11月16日

従来のプラスチックとは違う!? バイオマスプラスチックのメリットとデメリット

バイオマスプラスチックが抱える可能性と問題点は? リサイクルはできる?

最近よく耳にするバイオマスプラスチックですが、一体どういったメリット、デメリットがあるのでしょうか。
買い物用のレジ袋が有料化され、廃棄プラスチックや地球温暖化など環境問題が囁かれるなか、環境にやさしく将来有望なプラスチックとして注目を浴びています。

今回の記事では、そんなバイオマスプラスチックについて詳しく解説したいと思います。
メリット、デメリットをそれぞれ理解した上で、どう取り入れていくべきか、参考にしてみてください。

バイオマスプラスチックとプラスチックの違い

まず、バイオマスプラスチックとはどういったものなのか?
キーワードを知っているものの、従来のプラスチックとどんな違いがあるかわからない方も多いのではないでしょうか。

現在、私たちが生活する身の回りには、レジ袋や食料品のパッケージや液体容器など多くのプラスチック製品であふれています。
耐久性があり、その利便性から普及しましたが、近年は海洋プラスチックごみや地球の温暖化など、環境に影響があるとして世界中で問題視されるようになりました。

また、このまま消費を続けているとプラスチックの原料となる、産業上重要な化石資源の枯渇のリスクも。それだけでなく、国際情勢によって起こる燃料の価格変動も大きな問題となっています。

日本でも2020年の7月から全国で一斉にプラスチック製のレジ袋が有料化され、脱プラスチックの動きは一人一人が環境のことについてライフスタイルを見直すきっかけに。
大手チェーン飲食店がカトラリーの制限をしたりストローをプラスチック製から紙製のものに変えたりと、地球にやさしい社会づくりの取り組みを行う事業者も増えてきました。

そんな背景もあり、日本政府が近年大きく進歩したバイオ技術を使った再生可能なバイオマスの活用を推進。
環境省の説明によれば、バイオマスプラスチックの説明は以下になります。

【バイオマスプラスチックとは】

植物などの再生可能な有機資源を原料とするバイオマスプラスチック。
汎用樹脂といわれる幅広い製品に使われているPE(ポリエチレン)等や耐熱性、耐衝撃性などの機能が強化されたエンジニアリング・プラスチックといわれる樹脂のPC(ポリカーボネート)等が存在しています。バイオPETのように、部分的にバイオマス由来になっているものもあります。現在も、新規樹脂の研究・開発が世界中で進んでいます。

●参考:環境省「プラスチック資源循環」サイトより

上記の説明のとおり、バイオマスプラスチックはトウモロコシやサトウキビの澱粉、トウゴマのひまし油などの植物由来の原料を使って生成されます。植物は成長過程の上で二酸化炭素を吸収するため、化石資源に比べて二酸化炭素の排出を抑制し、地球温暖化の対策に。

こうしてバイオマスプラスチックはサステナブルなプラスチックとして注目が集められているのです。

バイオマスプラスチックのメリット

バイオマスプラスチックのメリット

前の章でバイオマスプラスチックがどういったものかをご紹介しましたが、ここではさらに活用する上でのメリットを一つずつ解説していきたいと思います。

バイオマスプラスチックのメリット1:化石燃料の使用削減

枯渇の危険性が指摘されている化石燃料で生成されるプラスチックに比べ、バイオマスプラスチックは植物由来のプラスチック素材のもので生成可能な有機資源によって生産されています。

よって、化石燃料などの枯渇性資源の使用を削減でき、環境への負荷を減らす効果が期待できます。

バイオマスプラスチックのメリット2:カーボンニュートラル

生分解性機能をもつバイオマスプラスチックであれば、原料となる植物の光合成によって二酸化炭素を吸収します。また生分解性プラスチックの役目を終えた後は、自然環境下で微生物によって分解され、最終的には二酸化炭素と水になり、カーボンニュートラルに貢献します。

カーボンニュートラルとは、深刻な問題となっている地球温暖化において二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること。2020年10月には日本政府が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。

バイオマスプラスチックのメリット3:生分解

数百年以上に渡って分解されずに自然環境下に滞留する可能性があるプラスチック製品はごみとなります。
破棄されたプラスチック製品が雨風や川にながされ、海にたどり着いて海洋プラスチックごみの原因に。

そんな従来のプラスチックと比較して、バイオマスプラスチックは短期間で生分解されることになるので、環境への負荷が低いと言えるでしょう。

バイオマスプラスチックのデメリット

バイオマスプラスチックのデメリット

環境にやさしいと言われ注目を集めるバイオプラスチックですが、多くのメリットをもたらす一方でデメリットもあります。
次に、デメリットを一つずつ解説していきたいと思います。

バイオマスプラスチックのデメリット1:原料不足の懸念

バイオマスプラスチックは、主にバイオマス由来の糖、油脂などから製造されています。
代表的な原料としては、サトウキビ、トウモロコシ、キャッサバなどが挙げられ、非可食部が用いられている場合がほとんどですが、一部では可食部が用いられている場合も。

現状の段階ではバイオマスプラスチックの製造に原料が不足しているという情報はありませんが、将来原料需要の拡大するうえで食料のほか、他の原料との競合が発生する恐れがあります。
持続可能な原料を調達する観点から見ると原料そのものの量が不足する懸念があり、バイオマスプラスチックのデメリットとして挙げられています。

バイオマスプラスチックのデメリット2:追いつかない供給

輸送効率化の観点からも、バイオマスプラスチックは原料生産国で製造されていることがほとんどです。
近年はバイオマスプラスチック需要が急激に高まり、各国の樹脂製造事業者による増産の計画があるもののその製造設備の整備に数年を要しています。
その間、バイオマスプラスチックの供給が需要に追いつかない恐れがあります。

バイオマスプラスチックのデメリット3:コストが高い

供給に追い付かない可能性があると前述でご紹介しましたが、バイオマスプラスチックは化石資源と比べて原料を調達する効率性や製造においての特性などから製造コストが多くかかり、その分商品の価格も高くなってしまうデメリットがあります。

日本政府が発表しているデータによると、従来の化石資源由来プラスチックとバイオマスプラスチック(非生分解性)の単価を比べた場合、バイオPEが約3倍、バイオPETが約 1.5倍のコストという結果に。

価格が高い分、消費者にそれ以上の価値を理解してもらわないといけません。コストの高さはバイオマスプラスチックの需要が増加しにくい大きな原因となっています。

バイオマスプラスチックのデメリット4:使用後のフロー

使用後のバイオマスプラスチックについて、リサイクルする場合は複数のプラスチック種が混じっているものと、単一のプラスチック種のものに分けて整理する必要があります。

複数プラスチック種の場合、生分解できるものとそうでないものが混入しているケースがあるので、従来のプラスチックと一緒にリサイクルに出すと異物となってしまい、かえってリサイクルの阻害要因になるというデメリットも。

現状では選別などのリサイクル技術やプロセスが確立されていないうえ、使用する消費者にもバイオマスプラチックにおけるリサイクル選別の知識が広まっていないため、使用後のフローに関してもまだまだ課題が残っています。

バイオマスプラスチックが向いている製品

メリット、メリットデメリットのそれぞれを踏まえた上で、バイオマスプラスチックは一体どういった製品に向いているのでしょうか?

主に使われているものをまとめてみました。

【バイオマスプラスチックが向いている製品】

  • 可燃ごみ袋
  • レジ袋
  • 農業用肥料に用いる被覆材
  • 衣料繊維
  • 電気・情報機器
  • OA機器
  • 自動車

このような商品は、求められるプラスチック性能がバイオプラスチックでも十分に満たされ、製品化ハードルが低く用途が広がっていると考えられます。

バイオマスプラスチックに向かないものもある?

従来のプラスチックとは性質が異なるのは、薄いフィルムを生産する際にはバイオマスプラスチック100%で生産が困難であり、総合的には従来のプラスチック素材と合わせて、以前よりも重量が重いものになる場合も。
また産業資材の中では、在庫期間中に生分解性プラスチックの分解がスタートしてしまうため、長期保管に向かないということがあります。
今後の性能を上げる、分解のタイミングを調整するという技術革新が待たれ、バイオマスプラスチックはまだまだ発展途上の素材と言えるでしょう。

「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

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今回は、不織布にも用いられるバイオマスプラスチックのメリット、デメリットについてお伝えしました。
私たちは環境負荷の低いものづくりに挑戦するために、バイオマスプラスチックを使用した不織布開発に取り組んでおります。まだまだ発展途上のバイオマスプラスチックですが、これからも研究開発を続けて参ります。

マルヰ産業は自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。

年間7500tのニードルパンチ不織布を製造し、国内では5%のシェアを誇ります。
自動車や土木分野のみならず、高速道路の防音壁や断熱材、吸音材、インテリアと業界ジャンルも幅広く、高い技術と万全の製造設備で用途に応じたさまざまなニーズに対応しています。

不織布について、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。