反毛とは、不要になった繊維を専用の機械を用いて再度綿状に戻すことです。衣料品や糸、布などを再度綿状の繊維に戻し、さまざまな製品にリサイクルできます。
マルヰ産業では、反毛技術を駆使し、環境負荷を軽減しながら、土木資材などの分野で反毛繊維を活用しています。本記事では、反毛の意味やその歴史、そして具体的な製品例を紹介します。
目次
反毛とは
反毛とは、不要になった繊維(衣料・糸・布地)などを再度綿状に戻すことを指します。古くなった衣類や廃棄された不織布、使い終わった糸などがその対象です。このように不要になった繊維は通常、反毛機と呼ばれる専門的な機械を使い、細かく解体して繊維の状態にまで戻します。反毛によって生まれる繊維は、新たな繊維原料として再利用が可能です。
反毛繊維は、主にフェルト素材や詰め物として活用されることが一般的です。反毛は繊維の廃棄物を減らし、資源を循環させる重要なリサイクルの一環として注目されています。
反毛の歴史
諸説あるものの、反毛の歴史は明治時代に始まったとされています。日本が近代化を進めるなかで洋服を着用するようになり、羊毛製品が多く採用されるようになった頃です。当時の日本では羊毛の国内生産が追いつかず、羊毛繊維は非常に貴重な資源となっていました。
このような背景から、一度使用された羊毛繊維を再利用する技術として「反毛」が生まれたとされています。明治時代の反毛では、主に古い羊毛繊維の洋服を反毛処理し、その反毛繊維を用いて足袋底や帆布、じゅうたんなどの製造が行われていました。
当初は羊毛繊維の再利用が中心でしたが、現代では技術の進歩とともに、綿繊維やポリエステルなどの合成繊維も反毛の対象になりました。多様な素材の繊維製品が反毛処理され、フェルトやクッション材、作業用手袋の原料など、さまざまな用途で再利用されています。反毛技術は、古くから伝わるリサイクル手法のひとつといえるでしょう。
反毛繊維の製品例

反毛技術を活用した繊維は、さまざまな製品に再生利用されています。以下で、反毛繊維の製品例を紹介します。
吸出し防止材
吸出し防止材は、主に不織布で作られたシート状の製品で、護岸工事において土砂の吸出しや洗掘を防ぐために使用されます。吸出し防止材は、水流の影響を受ける箇所に敷設され、地盤の安定化を図る重要な素材です。
マルヰ産業では、反毛繊維の多くを吸出し防止材に使用しています。具体的には、月に20~40tほどの反毛繊維を使用しており、主に河川の護岸工事で活躍しています。大雨や洪水で地盤が流されやすい河川沿いに吸出し防止材を敷設することで、浸食を防ぎ、地域の安全を守ることが可能です。
反毛繊維を活用した吸出し防止材は、環境負荷の低減にも貢献する優れた製品です。廃棄物を資源として再利用することで、循環型社会の実現に寄与しつつ、地盤保護という重要な役割を果たしています。
自動車の防音材
反毛繊維は、自動車の防音材として使われることがあります。自動車の内部では、エンジン音や走行音、外部の騒音などを遮断することが求められます。反毛繊維を吸音性があるフェルトに加工することにより、防音材として活用することが可能です。
自動車の防音材は、車両の内装や床下、エンジンルームなど、目に見えない部分に使用されることがほとんどです。目立たない場所に配置されるため、見た目の美しさにこだわる必要がなく、反毛繊維を活用するのに適しています。さらに、反毛繊維を利用することでコストを抑えつつ、環境にも配慮した製品を提供できるというメリットがあります。
衣服
反毛繊維は、近年衣服にも活用されつつあります。とはいえ、まだその使用例は少なく、実験的な段階にあるといえるでしょう。
反毛繊維をそのまま使用するには、いくつかの課題があります。たとえば、反毛した素材は繊維長が短く長さも不均一で、生地にするには適していません。そのため、反毛繊維だけを使って生地にすることは難しいのが現状です。しかし、反毛繊維をオーガニックコットンなどの他の素材と組み合わせることで、反毛繊維を活かした衣服を作ることができます。
反毛繊維を使った衣服は、耐久性や肌触りに配慮しながらも、リサイクルできる素材を最大限に活用できる点が特徴です。技術の進歩に伴い、反毛繊維を用いた衣服が増えていく可能性は高いでしょう。
マルヰ産業が取り組む「反毛」によるリサイクル

マルヰ産業では、不要になった不織布(フェルト)を解繊し、繊維として再生する「反毛」に力を注いでいます。当社が関わる反毛の主な対象は、ポリエステル繊維で作られた不織布の端材やNG反です。このような繊維製品の廃棄物を社内の反毛機を使用して、再び綿状に戻し、土木工事に使用する不織布に混ぜて活用する取り組みを行っています。
反毛技術は近年、世界の繊維業界で注目を集めています。その需要の高まりを受け、設備の導入や改良が進むなか、マルヰ産業では最新型の反毛機を導入。新しい設備を用いて、難易度が高い自動車用不織布の反毛に挑戦しています。さらに、その反毛綿を使用した自動車用不織布の生産を実現したいと考えております。地球環境への負荷を低減できる不織布の生産を目指し、引き続き開発を続けていく所存です。
近年、反毛技術の価値が再認識され、多くのお客さまから反毛に関するお問い合わせをいただくようになりました。こうしたお客さまの声に応えるためにも、当社はさらに技術を磨き、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に貢献していきます。
自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。
当社が関わる反毛は、不織布(フェルト)を解繊し、繊維に戻す反毛が主です。私たちはポリエステル繊維で生産された不織布の端材やNG反を社内で反毛し、土木工事に使用される不織布に混ぜて活用しています。
近年において、世界の繊維業界で注目されている反毛技術。弊社では、最新型の反毛機を導入し、難易度が高い自動車用不織布の反毛に挑戦しています。さらに、その反毛繊維を使って自動車用不織布の生産を実現し、地球環境への負荷を低減できる製品を提供したいと考えています。
引き続き、私たちは技術開発を進め、持続可能な社会の実現に貢献するための不織布生産を目指していきます。疑問点やお困りごとがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。