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マルヰコラム

COLUMN

繊維リサイクル

2025年2月25日

産業廃棄物「繊維くず」のリサイクル方法|日本国内のリサイクル状況は?

産業廃棄物「繊維くず」のリサイクル方法|日本国内のリサイクル状況は?

産業廃棄物の一種である「繊維くず」とは、木綿くずや羊毛くず、天然繊維くずといった繊維のゴミのことです。環境負荷を軽減し持続可能な社会を実現するためには、繊維くずを適切に処理し、リサイクルすることが求められています。

本記事では、産業廃棄物である繊維くずの概要からリサイクル方法、そして日本国内のリサイクル状況について詳しく解説します。

産業廃棄物の一種となる「繊維くず」

産業廃棄物の一種となる「繊維くず」

産業廃棄物の一種として扱われる「繊維くず」とは、木綿くずや羊毛くず、天然繊維くず、布くずなど、繊維でできたゴミの総称のことです。繊維くずは、「産業廃棄物」として扱われる場合と「一般廃棄物」として扱われる場合があります。産業廃棄物と分類される繊維くずは、以下の通りです。

  • 設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る)
  • 繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)に係る天然繊維くず (合成繊維は廃プラスチック類)
  • PCBが染みこんだもの

参考:産業廃棄物の具体例|産業廃棄物の概要|東京都環境局

一方、縫製工場などで出る端切れや裁ち落としのようなものは、一般廃棄物として分類されることが一般的です。なお、事業活動に伴って発生するアクリル繊維やナイロンなどの合成繊維に関しては、「廃プラスチック類」に分類されます。

産業廃棄物として扱われる繊維くずは、排出事業者が法令に基づいて適切に処理しなければなりません。手続きを怠ると、法的な罰則を受ける可能性があります。

繊維くずは産業廃棄物全体のなかでは排出量が少ないものの、近年ではその量が増加傾向にあります。また、繊維くずは他の廃棄物と比べて最終処分率が高く、埋立処分が多いことが課題です。

そもそも産業廃棄物とは

ゴミと呼ばれる廃棄物は、大きく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の2種類に分けられます。そのなかで産業廃棄物とは、事業活動によって生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法で定義された20種類の廃棄物のことです。繊維くず以外であれば、石炭がらや焼却炉の残灰といった「燃えがら」、鉱物性油や動植物性油などの「廃油」、鉄鋼や非鉄金属の破片、研磨くずといった「金属くず」などが該当します。

また、産業廃棄物のなかには「特別管理産業廃棄物」と呼ばれるものがあります。特別管理産業廃棄物は、爆発性や毒性を持ち、人々の生活や環境に危険を及ぼす可能性がある廃棄物です。取り扱う場合は特に注意が必要です。

なお、産業廃棄物には量に関する規定がありません。そのため、排出事業者は排出する廃棄物がごく少量であっても産業廃棄物として扱い、適切に処理する必要があります。法律に従い、専門業者に依頼して適切に処理しましょう。

産業廃棄物の繊維くずをリサイクルする方法

産業廃棄物の繊維くずをリサイクルする方法

産業廃棄物である繊維くずは適切な処理が求められる一方で、リサイクルにより新たな価値を生み出すことが可能です。以下では、産業廃棄物の繊維くずをリサイクルする方法を紹介します。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは、繊維くずを分子レベルまで分解し、原料に戻して再利用する方法です。回収された繊維くずを洗浄し、細かく粉砕した後、化学処理を行って元の原料に戻します。処理をした原料は、新しい繊維やプラスチック製品に再利用されます。

ケミカルリサイクルは、さまざまな製品や廃棄物をリサイクルできる点がメリットです。しかし、プロセスが複雑で他のリサイクル方法と比べてコストが高くなるというデメリットがあります。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは、繊維の形状をある程度維持しながらリサイクルする方法です。比較的単純な工程で済むことで、コストを抑えやすいという特徴があります。繊維くずをマテリアルリサイクルする方法は以下の通りです。

ウエス繊維くずを適切なサイズに切って、雑巾や工場の油拭き用の布として利用する方法
反毛繊維くずを細かく裁断し、専用の機械を使って繊維をわた状に解きほぐす方法

マテリアルリサイクルは、比較的簡単な設備で実施できることから、多くの現場で活用されています。たとえばマルヰ産業では、繊維くずの多くを反毛によりリサイクルしています。ただし、マテリアルリサイクルをした後の製品の品質が安定しないケースがあり、用途に制限が出ることが課題です。

関連記事:反毛とは?その意味や反毛の歴史、反毛繊維の製品例まとめ

サーマルリサイクル

サーマルリサイクルは、繊維くずを焼却して得られる熱をエネルギーとして活用する方法です。特に、繊維くずに汚れが多く含まれていたり、種類ごとの分別が難しい場合に適した方法とされています。

サーマルリサイクルでは、繊維くずをRPF(固形燃料)にし、再利用することが一般的です。RPFは、石炭や石油といった化石燃料の代替品として、多くの産業で活躍しています。日本国内のエネルギー自給率を向上させることにもつながるでしょう。

さらに、RPFの活用が進めば、海外から輸入される化石燃料への依存を減らし、経済的な損失を抑えることが期待できます。サーマルリサイクルは環境保全だけでなく、経済面でも重要な役割を果たす取り組みとして注目されています。

その他

その他の繊維くずのリサイクル方法として、中古の衣服に再利用する方法や動物の敷きわらに活用する方法があります。

中古衣服として再利用する場合は、繊維くずをクリーニングなど適切な処理をして、衣類として再び活用します。このような活動は、繊維くずの低減だけでなく、物資が不足している地域社会への支援にもつながるでしょう。

また、動物の敷きわらとしての再利用では、い草からできた畳など天然素材由来の繊維くずを使用します。繊維くずでできた敷きわらは、ペット用や畜舎用の防寒材として活用されており、天然素材であることから使用後は土壌中で分解され、土壌改良にも役立ちます。

リサイクルできない繊維くずは?

リサイクルできない繊維くずは?

リサイクルが難しい繊維くずは、破砕や焼却を経て埋め立て処理されるケースが一般的です。繊維の種類や状態によって、リサイクルに適さない場合があるためです。

技術の進化によりリサイクル法は多様化し、従来は廃棄するしかなかった繊維くずの一部が再利用可能となってきました。しかし、近年ではファッション業界の多様化に伴い、リサイクル不可能な繊維くずの割合が増加しています。

繊維くずのリサイクル率を高めるには、素材選択の段階でリサイクルを見据えることが重要です。同時に、消費者としても繊維の分別や適切な廃棄を心掛けることが、環境負荷の軽減につながるといえます。

日本国内の繊維リサイクル状況

日本国内の繊維リサイクル状況

環境省が実施した調査によると、家庭から手放される衣料品は年間81.9万トン(2020年時点)に上ります。そのうち、実に51.2万トンがゴミとして焼却、または埋め立て処分されています。一部はサーマルリサイクルとしてエネルギーに活用されますが、リサイクルの割合が低いことが課題です。

一方で、繊維リサイクルの一環として注目されているのが、ペットボトルから作られる再生繊維の活用です。廃棄されたペットボトルは、新しいペットボトルに生まれ変わるだけではなく、食品トレーや回収ボックスなどの製品にも再利用されています。さらに、再利用されたペットボトルの約7%が衣類や不織布などの繊維製品にリサイクルされています。

日本国内の繊維リサイクルの現状を見ると、まだ改善の余地は大きいものの、リサイクル技術の進化と再生繊維の普及により、資源循環型社会の実現に向けた一歩が着実に進んでいるといえるでしょう。

参考:繊維製品の資源循環システムの構築に向けた技術開発について|国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構技術戦略研究センター

自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

リサイクルポリエステル繊維を活かしたマルヰ産業の取り組み

今回は、産業廃棄物となった繊維くずのリサイクル方法についてお伝えしました。

マルヰ産業では、繊維くずの多くを反毛メーカーに引き取っていただき、社内でも反毛を行って土木用フェルトに活用するなど、積極的にリサイクルに取り組んでいます。また反毛が難しい繊維くずについては、産業廃棄物として適切に処理することを徹底しております。

マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。

機能性を持たせた不織布の製造が可能ですので、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。