
ニードルパンチ加工とは、多数のニードル(針)のある機械を用いて、繊維を絡ませて「不織布」を作る技術です。
ニードルパンチ加工では、強度・厚みなど多彩な表現ができることから、不織布の製造において採用されるケースが多くありますが、そのメリット・デメリットには何があるのでしょうか。
今回はニードルパンチ加工の特徴やメリット・デメリット、ニードルパンチ加工を行う上での注意点について解説します。
目次
ニードルパンチ加工とは
ニードルパンチ加工とは、多数のニードル(針)がある機械で、繊維を絡ませて圧着させ、不織布を作る製法です。
不織布の製法別シェアによると、ニードルパンチは2番目に高い割合となっています。
- スパンボンド・メルトブロー 27.1%
- ニードルパンチ 19.6%
- スパンレース 16.8%
シェアが最も高いスパンボンド・メルトブローは、原材料である樹脂チップを溶融して積み重ね、シート状に結合させる製法で、オムツなどに使用されています。
3番目のスパンレースは、高圧水流の噴射による絡み合わせで不織布を作る製法で、やわらかな手触りになるのが特徴で、ウェットシートなどの衛生用品や、化粧用品の不織布で使用されています。
参照:日本不織布協会:日本の不織布の製法別シェア(2020年)
ニードルパンチ加工が選ばれる理由は?
ニードルパンチ加工の特徴に、重量・厚み・強度が多彩に表現できる点があります。
例えばマスクを作る機械では、紙のような薄さで、強度が低い不織布を作ります。
その他にも、ニードルパンチ加工のような「乾式不織布」を作る製法に、加熱処理を施すサーマルボンド製法がありますが、ニードル加工をしなければ、厚みや重量は出せてもニードル加工と同様な強度は出せません。
したがって、ニードルパンチ加工は求められる性能に応えうる幅が広く、不織布の製造において、支持される理由となっています。

こうして作られる!ニードルパンチの不織布ができるまで
ニードルパンチ加工の手順を確認しておきましょう。
- ウェブ(繊維状のシート)形成
- ニードルパンチ加工
- 巻き取り
ニードルパンチ加工では、繊維をカードという機械に通してシート状にする(ウェブ形成)ことから始めます。
次にウェブを重ね合わせ、ニードルを往復させることによって繊維を交絡させます。最後に巻き取りを行うことで、ニードルパンチ加工を施した不織布が仕上がります。

ニードルパンチ加工でどんな生地になる?メリット・デメリット
ニードルパンチ加工にはどんなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。
ニードルパンチ加工のメリット
- 軽くて丈夫な生地が作れる
- 安価で大量に作れる
- さまざまな性能が追加できる(抗菌・撥水性など)
ニードルパンチ加工は、ニードルによって繊維同士を絡ませて作るので、低目付(低重量)でも強度の高い生地が作れ、さまざまな性能の追加もできます。また、一度に大量の不織布が作れるので、安価で仕上げられるメリットもあります。
ニードルパンチ加工のデメリット
- 針を使用している
- 表面にケバ立ちが生じることがある
ニードル加工では、多数の針という危険物を使用しているというリスクや、表面のケバ立ちが生じることがあります。そういったリスクを避けるためには、定期的な設備の点検や、品質検査が大切です。
身の回りのものから建築資材まで!ニードルパンチ加工で作られる不織布は?
ニードルパンチ加工では、ウェブの形成や針の種類などを変更することで、多様な不織布を作ることができます。
- 建築用資材
- 自動車内資材
- 土木資材
- カーペット
- フィルター
- 日用雑貨
ニードルパンチ不織布は、頑丈さ・接着剤不使用などの特徴を活かして、車のカーペットやスポンジなどの身の回りのものから、防草材などの土木資材など、幅広く使用されています。
ニードルパンチ加工での注意点
ニードルパンチ不織布を作る際には、どんなものを作りたいかによって、製造方法が異なるので、事前の協議が必要です。
例えば、やわらかさ・軽さ・強度が欲しい場合は、繊維選びでは細いものを中心に揃え、強度を出すために、接着繊維の分量を多くします。そして加工を行う際には、よく綿を絡めて高密度にするなどの工夫をします。
製造ライン決定や、想定する生産性を出し、コスト面を踏まえた「生産条件案」をつくり、加工トライを実施することがありますが、この条件案やトライが甘ければ、希望するものが作れないといったこともあるでしょう。

自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!
ニードルパンチ加工の特徴についてお伝えしました。
ニードルパンチ加工で、希望通りの不織布を作るためには、綿密な打合せが必要です。
マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを下支えする「不織布」専門の製造・加工メーカーです。
お客様へのカウンセリングをもとに、求められる品質を実現する為の「ベストな製造条件」を生み出し、トライし続けることに尽力しています。
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