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本記事では、反毛繊維の定義やリサイクルのプロセス、具体的な活用例のほか、ポリエステルを原料とした反毛繊維の製造に特化した、マルヰ産業の取り組みについて詳しく解説します。
目次
反毛繊維とは
反毛繊維とは、余った糸や布、または古い衣服などを細かくほぐしてバラバラにし、再び綿状に戻した繊維のことです。反毛繊維は廃棄物を新たな素材として活用することから、資源の有効活用と環境負荷の低減に貢献しています。
反毛繊維の代表的な使用例として挙げられるのは、自動車の防音材や河川の護岸工事での吸出し防止材です。反毛繊維はリサイクル素材でありながら、多くの分野で重要な役割を果たしています。
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反毛繊維にリサイクルするプロセス

不要な繊維から反毛繊維にリサイクルするプロセスは、大きく分けて以下の3段階です。それぞれについて、詳しく解説します。
- 不要な繊維の分別
- 分別した繊維の裁断
- 綿状に開繊
1.不要な繊維の分別
反毛繊維にリサイクルする際は、まず不要な繊維を種類ごとに分別するところから始まります。分別作業では、繊維の組成(コットン、ウール、ポリプロピレン(PP)など)や色を基準に分類します。最終的に得られる繊維を特定の色や質感に仕上げたい場合は、特に分別作業が重要です。
また、衣類を原料として反毛繊維を製造する際は、ボタンやファスナーといった付属品を手作業や専用機械で外します。分別作業を丁寧に行うことで、後の工程で機械に負担をかけることを防ぎ、反毛繊維の質を安定させることができます。
2.分別した繊維の裁断
分別した不要な繊維を機械で細かく裁断します。裁断する作業は、次の綿状にする工程を効率的に進める準備です。裁断が適切に行われることで、繊維がほぐれやすくなります。
なお、異なる組成の原料を混ぜる場合は、裁断の段階で混合することがあります。裁断工程は単に繊維を細かくするだけでなく、最適な素材を作り出すための重要なステップです。
3.綿状に開繊
裁断された繊維は、次に反毛機を使って綿状に開繊されます。無数の針が付いたローラーで繊維を丁寧にほぐし、絡まりを解きながら柔らかく仕上げていきます。
綿状になった繊維は、その後さまざまな新しい製品や材料へと再利用することが可能です。
反毛繊維の活用例

反毛繊維は、廃棄されるはずだった繊維資源を再利用し、新たな価値を生み出す素材として、さまざまな分野で活用されています。以下で、反毛繊維の具体的な活用例を紹介します。
フェルト
反毛繊維の代表的な活用例として挙げられるのがフェルトです。再生された反毛繊維を原料に作られる反毛フェルトは、その特性を活かし、さまざまな分野で利用されています。
具体例として挙げられるのは、自動車の防音材や河川の護岸工事で使われる吸出し防止材などです。自動車の防音材では、反毛繊維によって作られたフェルトによって車内の騒音を吸収し、快適なドライブ空間を作り出します。また、河川の護岸工事で使用される吸出し防止材では、河川の流れや洪水時の水圧による地盤の浸食を防ぐ役割を担っています。
反毛フェルトは目に触れる部分に使用されることが少なく、あまり外観の美しさにこだわる必要がありません。そのため、反毛繊維を積極的に取り入れやすいとされています。
関連記事:環境に優しい反毛フェルト|定められている規格や製造工程、用途を紹介
中綿
反毛繊維は、反毛の過程で綿状に戻されるため、そのまま中綿素材として活用できる場合があります。中綿として使われる反毛繊維は、ぬいぐるみやクッションで使用されるケースが一般的です。また、イスやカーシートのクッション材としても使用されます。
リサイクルされた繊維が中綿として再利用されることで、廃棄されるはずだった繊維に新たな価値が生まれると同時に、環境負荷の低減にもつながります。
糸
反毛繊維は、元の繊維をバラバラにする過程で長さが短くなったり傷がついたりしてしまうことから、新たな糸に再利用することは難しいとされています。しかし特定の用途において、反毛繊維を糸として活用できる例が存在します。その代表例が「毛七(けしち)」と呼ばれる糸です。
毛七は、毛織物を反毛した再生繊維を約70%、その他の繊維を30%混ぜ合わせて作られるものを指します。リサイクルウールと呼ばれる糸は、毛七である場合が多いといえるでしょう。
また、綿製品を反毛して得られた繊維から作られた糸は、軍手などの実用的な製品に活用されるケースがあります。反毛繊維を糸として活用することは難しいとされていますが、繊維リサイクルの可能性を広げる重要な取り組みです。
ポリエステル原料の反毛繊維に特化するマルヰ産業

反毛といえば、コットン、ウール、ナイロン、ポリプロピレン(PP)など、さまざまな繊維が対象です。それぞれ、用途に応じて使用される場面が異なります。
マルヰ産業では、ポリエステルを原料とした反毛繊維の生産に特化しています。コットンなど、さまざまな繊維が混ざる可能性が高い古着などを原料とした反毛は取り扱っておりません。
近年、環境負荷低減の観点から、反毛への注目が高まっています。私たちはこうしたニーズに応えるために最新の反毛機の導入を進めながら、技術のさらなる向上を目指しています。
自動車用資材から土木資材まで!「不織布」はマルヰ産業におまかせ!

今回は、反毛繊維についてお伝えしました。
マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。特に、機能性を持たせた不織布の製造に強みを持ち、お客さまの多様なニーズに応える製品を提供しております。
私たちは、ポリエステルを原料とした反毛繊維の生産に特化しており、技術の向上に力を入れています。反毛の需要の高まりを受け、最新型の反毛機を導入し、難易度の高い自動車用不織布の反毛生産にも挑戦中です。こうした取り組みを通じて、地球環境への負荷を低減しつつ、反毛繊維を使用した新たな不織布製品の生産を目指しています。
近年、多くのお客さまから反毛に関するお問い合わせをいただくようになりました。私たちは環境に配慮した持続可能な社会の実現に向け、開発を続けてまいります。疑問点やお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。