リサイクルポリエステルは、廃棄物を再利用して作られたサステナブルな素材です。従来のポリエステルと同様に高い耐久性と軽量性を兼ね備えた生地で、さまざまな製品に利用されています。
本記事では、リサイクルポリエステルで作られた生地の特徴や製造工程、さらにはユニフォームやインテリア製品など、実際の用途について紹介します。環境に優しい素材として、ますます注目を集めるリサイクルポリエステルの魅力を深掘りします。
目次
リサイクルポリエステルで作られた生地の特徴

リサイクルポリエステルは、環境への配慮から生まれたサステナブルな素材です。主に使用済みのペットボトルや廃棄された衣類、フィルムくずなど、さまざまな廃棄物を再利用して作られています。従来のポリエステルと同様に高い耐久性と軽量性を持った生地で、スポーツウェアやバッグ製品など多用途で活用されている点が特徴です。
2023年4月時点でポリエステル繊維全体におけるリサイクルポリエステルの割合は、14.8%まで上昇しています。ポリエステル繊維全体の割合に比べるとまだ少ないといえますが、少しずつ日常生活に浸透しているといえるでしょう。環境配慮と機能性を兼ね備えたリサイクルポリエステルは、エコな社会を目指す現代において重要な素材です。
ポリエステルとリサイクルポリエステルの違い
ポリエステルとリサイクルポリエステルは、製造プロセスや環境への影響に大きな違いがあります。
一般的なポリエステル(PET)は、石油や天然ガスといった化石燃料を原料として人工的に作られます。大量のエネルギーが消費され、二酸化炭素などの温室効果ガスが排出されるポリエステルは、環境への負荷が高い点が課題です。
一方でリサイクルポリエステルは、使用済みペットボトルや廃棄された繊維製品などの再生原料を利用して作られます。廃棄物を再利用することにより、新たに化石燃料を使用することが減り、原料の石油依存を削減することが可能です。
また、リサイクルポリエステルの製造は従来のポリエステルと比べて消費エネルギーが少なく、環境への負担軽減が期待できます。持続可能な社会を目指すうえで、リサイクルポリエステルの需要はますます高まっているといえるでしょう。
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リサイクルポリエステルが作られる工程

リサイクルポリエステルが作られる工程は、一般的に以下の4ステップです。
- ペットボトルやポリエステル素材の衣料品を回収する
- 異物を排除し、色ごとに分ける
- 粉砕し、ペレット状にする
- 糸や繊維に加工し、リサイクルポリエステルの生地が作られる
リサイクルポリエステルはペットボトルやポリエステル素材の廃棄物を粉砕し、糸や繊維として再生することで生地にします。しかし、ポリエステル繊維は色を抜くことが難しいとされており、リサイクルされる原料の大半がペットボトルなどの着色されていない、かつ異分野の素材です。また通常の脱色では、還元剤や溶剤が排水されることによって、水が汚染されてしまうリスクが懸念されています。着色されたポリエステル繊維のリサイクルについては、課題のひとつです。
リサイクルポリエステルの用途

リサイクルポリエステルはポリエステルと同等の特徴を持つ、耐久性と軽量性に優れた生地です。最近では、リサイクルポリエステルで生産された服、カバン、カーペットなどの商品が国内でも多く販売されています。以下で、リサイクルポリエステルの具体的な用途について紹介します。
ユニフォーム
リサイクルポリエステルは、環境への配慮と高い機能性を両立する素材として、ユニフォームに採用されています。ユニフォームなどのスポーツ製品は、リサイクルポリエステルの耐久性・軽量性が高いという特性を最大限に活かすことが可能です。
リサイクルポリエステルを活用したユニフォームは、環境負荷を軽減しながらも、スポーツ選手のニーズを満たす高いパフォーマンス性を実現できます。スポーツの未来を守るためのサステナブルな取り組みは、スポーツ選手やファンにとっても大きな意義を持つものといえるでしょう。
ラグ・カーペット
リサイクルポリエステルを使用したラグやカーペットは、耐久性に優れているだけでなく、リサイクル素材の利用によるエコな選択としても人気があります。
また、速乾性が高いことから、メンテナンスが簡単な点も魅力のひとつです。家庭用から商業施設用まで幅広いシーンで活用されており、快適な空間作りをサポートします。
その他
マルヰ産業では、生産したすべての不織布に必ずリサイクルポリエステルが含まれています。不織布の用途は、自動車や土木、インテリア、産業資材などさまざまです。
また弊社では、リサイクルポリエステルを「短繊維」にしたものを、日本国内の短繊維メーカーから購入しております。日本国内のリサイクルポリエステル短繊維は、世界一レベルの品質です。日本の短繊維メーカーが生産した超高品質なリサイクルポリエステル短繊維を長年使用して、不織布を生産しております。今後も不織布生産を通して、さらにマテリアルリサイクルに貢献できるよう取り組みを続けております。
リサイクルポリエステルを活かしたマルヰ産業の取り組み

今回は、リサイクルポリエステルで作られた生地についてお伝えしました。
マルヰ産業は、自動車部品から建設業界に至るまで、日本のものづくりを影で支える「不織布」専門の製造・加工メーカーです。
弊社は長年、リサイクルポリエステル繊維を使用した不織布を生産し、日本国内のマテリアルリサイクルに貢献してまいりました。自動車や土木、インテリア、産業資材などの全用途の不織布に、リサイクルポリエステルを使用しています。今後も不織布生産を通して、さらにマテリアルリサイクルに貢献できるよう取り組んでまいります。
不織布に関して、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。